ソフトウェア開発には「何を、どの順番でやるか」を標準化した“型”があります。
今回は、共通フレームやCMMIといった、開発の信頼性を高めるフレームワークをゆるっと解説します!
共通フレーム(共通フレーム2007/2013)
正式名称:ソフトウェアライフサイクルプロセス(SLCP)
IPA(情報処理推進機構)によって策定された、日本独自のフレームワークです。
共通フレームの目的
- 開発の工程を共通の言葉と流れで整理
- 発注側・受注側の「すれ違い」を減らすために
プロセスの構成例(※図解あり)
- 企画
- 要件定義
- 開発
- 運用
- 保守
- 廃棄
📌図解:共通フレームの全体像

テーラリング(Tailoring)とは?
→ 共通フレームの「プロセス定義」を自社やプロジェクトに合うように調整すること。
例:小規模開発では「一部工程を簡略化」など。
CMMI(Capability Maturity Model Integration)
アメリカ発の「開発プロセスの成熟度モデル」
レベル0〜5にわけて、「どのくらい開発体制が整っているか」を評価します。
CMMIの5段階レベル
レベル | 名称 | 特徴例 |
---|---|---|
レベル1 | 初期状態 | 手順が定まっておらず、人によってバラバラ |
レベル2 | 管理された状態 | プロジェクト単位で進捗や品質を管理している |
レベル3 | 定義された状態 | 組織全体で共通の手順・ルールを定義している |
レベル4 | 定量的に管理された状態 | 数値で管理・分析し、改善につなげている |
レベル5 | 最適化されている状態 | 継続的改善が仕組みとして根付いている |
💡日本企業はレベル2〜3が多いと言われています。
FAQ(よくある質問)
- Q共通フレームは開発者しか使わない?
- A
いいえ。発注者側・プロマネ・ユーザー部門にも関係する共通言語です。
- QCMMIの「成熟度」ってなに?
- A
「組織としての開発の進め方がどれだけ安定・洗練されているか」を表す指標です。
- Qテーラリングって勝手に変えてもいいの?
- A
基本的な構成を理解した上で、合理的に調整(簡略化・統合など)することが前提です。
練習問題①
共通フレーム(SLCP)の目的として、最も適切なものはどれか?
A. ソースコードの保護と暗号化を行うための仕組み
B. ソフトウェアの設計図を図解化するための標準規格
C. 開発工程を共通の言葉と手順で整理し、関係者間の認識を揃えるため
D. 利用者が自分でソフトウェアを修正できる仕組み
正解:
C
→共通フレームは、発注者・開発者間で工程や用語を統一し、トラブルを防ぐために策定された日本の標準です。
練習問題②
次のうち、共通フレームにおける「テーラリング」の説明として最も適切なものはどれか?
A. 開発ツールをインポートして設計を自動化する作業
B. ソースコードのバグを修正するためのデバッグ処理
C. プロジェクトに応じてプロセスの一部を簡略化・統合などで調整すること
D. プログラムコードを複製して別のプロジェクトに流用すること
正解:
C
→テーラリングは、共通フレームを“自社やプロジェクトの状況に合わせて調整する”という意味で使われます。
練習問題③
CMMIの成熟度モデルにおいて、「レベル3」に該当する状態として最も適切なものはどれか?
A. 開発手順は存在せず、属人的な対応に頼っている
B. プロジェクトごとに管理されているが、全社では統一されていない
C. 組織全体で共通の開発プロセスが定義され、活用されている
D. すべての工程が自動化されており、AIが判断している
正解:
C
→CMMIレベル3では、組織全体に標準化された開発プロセスがあり、それに従って各プロジェクトが動いています。
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