簿記の学習を進めていくと、出てくるのが「手形(てがた)」というキーワード。
現金や掛け取引とはちょっと違う、約束でお金をやり取りする方法です。
「手形」と聞くと難しそうに感じますが、基本をおさえれば流れはシンプル。
この記事では「支払手形」「受取手形」に加え、「割引手形」や「裏書手形」のしくみを、やさしく整理していきます。
手形の基本をマスターしよう
支払手形(しはらいてがた)
「あとでお金を支払う約束をする」時に使う手形。
会社が仕入代金などを“手形で支払う”ときに発生。
- 発生時(約束したとき)
(借)仕入 / 支払手形
- 支払時(実際に支払ったとき)
(借)支払手形 / 現金
受取手形(うけとりてがた)
「あとでお金を受け取る約束をもらう」時に使う手形。
商品を売って、相手から“手形で支払うね”と言われたときに発生。
- 発生時(手形を受け取ったとき)
(借)受取手形 / 売上
- 支払時(現金で受け取ったとき)
(借)現金 / 受取手形
割引手形(わりびきてがた)
手形の満期を待たずに、銀行で現金化する方法。
ただし、利息(手数料)を引かれて受け取る。
- 銀行に割り引いてもらったとき
(借)現金 ×××
(借)手形売却損 △△△
/ 受取手形 合計金額
裏書手形(うらがきてがた)
もらった手形を、別の相手への支払いに使う方法。
「この手形で支払うよ」と、手形の裏にサインして譲渡する。
- 裏書で支払ったとき
(借)買掛金 / 受取手形

よくある質問(FAQ)
- Q手形って、現金と何が違うの?
- A
手形は「将来の支払いを約束する証書」で、現金と違ってすぐには使えません。
でも、割引や裏書などで“お金のように”使うことができます。
- Q割引手形の「手形売却損」って何?
- A
銀行で現金化するときに引かれる手数料(利息)です。
受け取る金額が減るため、費用として処理します。
- Q裏書って危なくないの?
- A
裏書手形を使うと、万が一手形が不渡りになったとき、元の会社も責任を問われるリスクがあります。
簿記ではそのリスクまでは問われませんが、実務では注意が必要です。
練習問題(4択クイズ形式)
Q1. 商品を仕入れて、代金を手形で支払うことにしたときの仕訳は?
A. (借)現金 / 支払手形
B. (借)支払手形 / 仕入
C. (借)仕入 / 支払手形
D. (借)売掛金 / 現金
正解:
C
→ 仕入(費用)が増える → 借方、支払手形(負債)が増える → 貸方
Q2. 商品を売って、受取手形をもらったときの仕訳は?
A. (借)売上 / 受取手形
B. (借)受取手形 / 売上
C. (借)現金 / 受取手形
D. (借)受取手形 / 現金
正解:
B
→ 売上(収益)が増える → 貸方、受取手形(資産)が増える → 借方
Q3. 割引手形の処理で、「手形売却損」とはどんな勘定科目?
A. 資産
B. 負債
C. 収益
D. 費用
正解:
D
→ 割引手形では、手数料として差し引かれる分を費用(手形売却損)として処理します。
Q4. 受け取った手形を裏書して支払いに使うときの仕訳は?
A. (借)現金 / 受取手形
B. (借)売掛金 / 受取手形
C. (借)買掛金 / 受取手形
D. (借)受取手形 / 買掛金
正解:
C
→ 買掛金(負債)を減らすために、受取手形を渡して処理。
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