前回は、商品売買の基本として「仕入と売上」「掛け取引」「前受・前払」などを学びました。
今回はその続きとして、返品・値引き処理や商品券の扱い、そして三分法と分記法の違いなど、実務でもよく出てくる仕訳を紹介します。
ちょっと難しそうに見えるかもしれませんが、仕訳の“ルールに沿って逆にするだけ”や、“お金の動きがあるかどうか”を意識するとわかりやすくなります。
売上・仕入の返品・値引き(=逆仕訳)
仕入返品の例
→ 仕入が減る/現金や買掛金が減る or 仕入に戻す
(借)現金 5,000 / 仕入 5,000(貸)
売上返品の例
→ 売上が減る/現金や売掛金が減る
(借)売上 8,000 / 現金 8,000(貸)
👉 ポイントは、「元の仕訳をひっくり返す=逆仕訳」
商品券の扱い
商品券で商品を売った場合
→ 現金ではなく「商品券」勘定を使う
(借)商品券 3,000 / 売上 3,000(貸)
他店商品券を受け取った場合
→ 商品券ではなく「預り金」などで処理(店舗によって扱い異なる)
(借)預り金 3,000 / 売上 3,000(貸)
商品券の精算(例:換金時)
→ 商品券が現金化される
(借)現金 3,000 / 商品券 3,000(貸)
三分法と分記法の違い
比較項目 | 三分法 | 分記法 |
---|---|---|
特徴 | 「仕入」「売上」で処理する | 「商品」「現金」などで処理する |
在庫の扱い | 決算時にまとめて帳簿調整する | 常に帳簿上で在庫を管理する |
処理の仕訳例 | (借)仕入 /(貸)買掛金など | (借)商品 /(貸)現金など |
使用場面 | 小規模商店や試験で多用(簿記3級) | 正確な在庫管理をしたい場合に使う |
👉 簿記3級では「三分法」を前提に学ぶことが多いです。

よくある質問(FAQ)
- Q返品や値引きは、いちいち逆仕訳しないといけないの?
- A
はい、簿記では元の仕訳と反対の処理(逆仕訳)を行うのが基本です。
- Q商品券は「現金」として扱っちゃダメなの?
- A
商品券は現金とは性質が異なるため、「商品券」や「預り金」として記録します。
- Q三分法と分記法はどっちが正しいの?
- A
どちらも正しい方法ですが、使い分けが必要です。
一般的には三分法=簡易的/分記法=厳密管理というイメージでOK。
練習問題(4択クイズ形式)
Q1. 売上の返品があった場合、正しい仕訳はどれ?
A. (借)現金 / 売上
B. (借)売上 / 現金
C. (借)仕入 / 現金
D. (借)売掛金 / 売上
正解:
B
→ 元の仕訳「(借)現金/(貸)売上」を逆仕訳する。
Q2. 商品券を使って商品が購入された場合の仕訳は?
A. (借)現金 / 売上
B. (借)商品券 / 売上
C. (借)売上 / 商品券
D. (借)預り金 / 売上
正解:
B
→ 現金ではなく「商品券」勘定で処理する。
Q3. 他店の商品券を受け取ったときの処理で正しいのは?
A. (借)現金 / 売上
B. (借)商品券 / 売上
C. (借)預り金 / 売上
D. (借)売上 / 預り金
正解:
C
→ 他店の商品券は「預り金(負債)」として処理される。
Q4. 三分法の特徴として誤っているものはどれ?
A. 仕入時に「仕入」勘定を使う
B. 売上時に「売上」勘定を使う
C. 在庫は都度帳簿に記録される
D. 簿記3級では主に三分法を学ぶ
正解:
C
→ 在庫を都度帳簿に記録するのは「分記法」の特徴。
Q5. 分記法の特徴で正しいものはどれ?
A. 仕入時に「仕入」勘定を使う
B. 在庫を決算で一括調整する
C. 常に「商品」勘定で在庫を管理する
D. 簿記3級で使われる主な方法
正解:
C
→ 分記法は「商品」勘定を使って、在庫を常時帳簿管理する方式。
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