会計期間の途中で、まとめて先に払った費用は、すべてその期の費用にしてしまってよいのでしょうか?
答えは「NO」です。使ってないぶんは、次の期の費用として繰り越す必要があります。
このときに使うのが、経過勘定の一つ「前払費用(まえばらいひよう)」です。
この記事では、保険料の支払いを例に、前払費用の仕訳のタイミングと流れをやさしく解説します!
前払費用とは?どんなとき使う?
前払費用とは?
決算時点で「すでに払ったけれど、来期分の費用」が含まれているときに使う資産勘定。
代表的なものは「保険料」「家賃」など、一定期間まとめて支払うものです。
保険料を支払ったとき(例:1年分)
仕訳例(1年分12,000円を一括で支払い)
(借方)支払保険料 12,000 / (貸方)現金 12,000
期末日に前払費用を計上(たとえば、3か月分が来期)
→ 来期に属する3か月分(12,000 ÷ 12 × 3 = 3,000円)を前払費用に振替
(借方)前払費用 3,000 / (貸方)支払保険料 3,000
📓帳簿記入例(仕訳帳)
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
---|---|---|---|
前払費用 | 3,000 | 支払保険料 | 3,000 |
期首の開始仕訳で取り消す
→ 次の期になったら前払費用を取り消して、支払保険料に戻す。
(借方)支払保険料 3,000 / (貸方)前払費用 3,000

FAQ(よくある質問)
- Q前払費用はなぜ「資産」になるの?
- A
まだ使っていない=将来のためにストックしてあるお金だから資産に分類されます。
- Q月払いの保険料でも前払費用って使う?
- A
通常は「年払い」や「数か月まとめて払う」ときに使います。月払いでは発生しません。
- Q期首仕訳って何のため?
- A
決算整理仕訳で処理した内容を、翌期にきちんと戻すための仕訳です。前払費用も期首に取り消します。
練習問題(4択形式)
Q1. 12,000円の保険料を年払いし、3か月分を来期分として処理したい。正しい仕訳は?
A. 支払保険料/前払費用
B. 支払保険料/現金
C. 前払費用/支払保険料
D. 支払保険料/支払保険料
正解:
C
→ 使っていない3か月分は「前払費用(資産)」として振替えます。
Q2. 翌期になったときの前払費用の取り消し仕訳は?
A. 支払保険料/前払費用
B. 前払費用/支払保険料
C. 現金/支払保険料
D. 雑費/支払保険料
正解:
A
→ 前期に「前払費用」としたものを、支払保険料として戻します。
Q3. 前払費用にあたるものとして正しいのはどれ?
A. 支払った電気代
B. 支払った給料
C. 支払った1年分の保険料のうち来期分
D. 売上の前受金
正解:
C
→ まだ使っていないけれど、すでに支払っている費用は「前払費用」として処理します。
コメント