簿記の世界では「商品を仕入れて売る」という流れがとても重要です。
つまり、“仕入”と“売上”は、商売の中心であり、簿記の学習でも避けて通れないテーマ。
しかも、現金だけでやり取りされるとは限りません。
「買掛金」「売掛金」「前払金」「前受金」など、取引の形はいろいろあります。
今回は、商品売買に関する取引を、実際のパターンに分けてやさしく解説していきます!
【仕入に関する取引】
① 現金で仕入れた
→ 仕入(費用)が増える → 左(借方)
→ 現金(資産)が減る → 右(貸方)
(借方)仕入 10,000 / 現金 10,000(貸方)
② 買掛金による仕入れ → 後日支払いが発生
→ 仕入が増える → 左
→ 買掛金(負債)が増える → 右
(借方)仕入 10,000 / 買掛金 10,000(貸方)
※後日支払い時:
(借方)買掛金 10,000 / 現金 10,000(貸方)
③ 前払いで仕入れる場合(前払金)
→ 前払金(資産)が増える → 左
→ 現金が減る → 右
(借方)前払金 10,000 / 現金 10,000(貸方)
※実際に仕入れたとき:
(借方)仕入 10,000 / 前払金 10,000(貸方)
【売上に関する取引】
④ 現金で売上げた
→ 現金(資産)が増える → 左
→ 売上(収益)が増える → 右
(借方)現金 12,000 / 売上 12,000(貸方)
⑤ 売掛金が発生(あとで回収)
→ 売掛金(資産)が増える → 左
→ 売上(収益)が増える → 右
(借方)売掛金 12,000 / 売上 12,000(貸方)
※後日回収:
(借方)現金 12,000 / 売掛金 12,000(貸方)
⑥ 前受金が発生(先に受け取る)
→ 現金が増える → 左
→ 前受金(負債)が増える → 右
(借方)現金 12,000 / 前受金 12,000(貸方)
※後日、商品を渡した時:
(借方)前受金 12,000 / 売上 12,000(貸方)
【仕入・売上にかかる諸掛】
- 仕入の送料や手数料 → 仕入に含めてOK
- 売上にかかる発送費 → 「発送費」などの費用として別途計上

よくある質問(FAQ)
- Q買掛金と前払金って何が違うの?
- A
買掛金は「あとで払う約束」、前払金は「先に払ったお金」です。
買掛金は負債、前払金は資産として扱います。
- Q売掛金と前受金も違いがややこしい…
- A
売掛金は「あとで受け取るお金」、前受金は「先に受け取ったお金」。
売掛金は資産、前受金は負債です。
- Q諸掛って何?
- A
商品の仕入・売上に関連する「送料」「手数料」「保険料」などのことです。
仕入側は「仕入に含める」、売上側は「別の費用(発送費など)」として記録します。
練習問題(4択クイズ形式)
Q1. 現金で商品を仕入れた場合の仕訳はどれ?
A. (借)仕入 /(貸)現金
B. (借)現金 /(貸)仕入
C. (借)買掛金 /(貸)仕入
D. (借)売上 /(貸)現金
正解:
A
→ 仕入(費用)が増える → 左、現金(資産)が減る → 右
Q2. 商品を仕入れたが、支払いは後日。これは何で処理する?
A. 売掛金
B. 買掛金
C. 前受金
D. 諸掛
正解:
B
→ 後払いの場合は「買掛金(負債)」で処理します。
Q3. 商品を売って代金をすぐ現金で受け取った場合の勘定科目は?
A. 売掛金と売上
B. 現金と売上
C. 前受金と売上
D. 現金と仕入
正解:
B
→ 現金(資産)が増える、売上(収益)が増える
Q4. 商品を販売し、代金を“あとで受け取る”場合に使う勘定科目は?
A. 前受金
B. 買掛金
C. 売掛金
D. 減価償却費
正解:
C
→ 「あとで受け取るお金」は「売掛金(資産)」で処理します。
Q5. 諸掛のうち、「仕入時にかかった送料」はどのように処理する?
A. 発送費として別に記録
B. 売上に含める
C. 仕入に含めて処理
D. 利益として記録
正解:
C
→ 仕入時の諸掛(送料・手数料など)は「仕入」に含めてOKです。
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