広告収入が最大50%減少したことに加え、多額の負債を抱えているため、キャッシュフローは依然としてマイナスだ
Twitterのオーナー、イーロン・マスク氏は7月15日(米国時間)にこうツイートしました。
以前からTwitterの広告収入がマスク氏が同社を昨年10月に買収して以降に減少しているとの報道が繰り返されていましたが、これを同氏が公に認めたのはこれが初めてです。
Twitterの広告収入を巡る報道は?
ニューヨーク・タイムズが得た内部文書によれば、2023年の4月1日から5月の第1週までの5週間におけるツイッターの米国内広告収入は8800万ドル(約127億円)と、前年の同じ期間と比較して59%減少している。
内部の情報や現役・退職したツイッターの社員たちによれば、近い将来ツイッターの業績が上向く見込みは少ないとのことだ。
ツイッター上では憎悪表現、誤った情報や偽情報、ポルノグラフィーといったコンテンツが増えており、さらにオンラインギャンブルやマリファナ関連の広告も増加している。これらの状況が広告主に不安を感じさせる可能性があり、そのことを営業スタッフは心配している。内部の情報によれば、2023年6月の広告収入は前年同月と比較して56%減少したと推測されている。
元メディア大手広告トップが新CEOに
ツイッターを管理するX社(X Corp.)は、2023年6月5日にリンダ・ヤッカリーノ氏が新CEO(最高経営責任者)に任命され、その職務を開始したと発表した。ヤッカリーノ氏は以前、アメリカの大手メディア企業NBCユニバーサル(NBCU)の広告部門を率いており、マスク氏が前年5月に次期CEOとして彼女を指名することを公表していた。
ヤッカリーノ氏の新任務には、広告主がツイッターから離れる問題を解決することが含まれている。アメリカの広告代理店ホライゾン・メディアのCIO(最高投資責任者)、デイブ・カンパネリ氏は、ヤッカリーノ新CEOにこの問題を解決することを期待していると述べた。
Twitter、一部のユーザーに広告収入を分配開始、効果は未だ不明確
Twitterは13日、一部のTwitter Blueの利用者に対して広告収入を分け与える新プログラムを立ち上げたことを明らかにしました。
すでに2万5000ドルを得たと投稿したユーザーもいる一方で、このプログラムの対象者数は明らかにされていません。
広告業界のベテラン、リンダ・ヤッカリーノ氏をTwitterのCEOとして招聘しましたが、その成果が表面化するのはしばらく先と見られます。
専門家の反応は?
Twitterはマスク氏による買収スキームにより多額の負債を抱えています。その利払いが重くのしかかる上に、大規模な人員削減などのコスト削減で運営に不安が生じ、広告主からの信頼を失っています。
買収以前の広告売上は年間7000億円ほどあったので、50%減となると、年間で3500億円規模の売上を失う計算になります。
今後、広告主にとって新たな選択肢になりそうなのがThreadsです。広告売上が年間16兆円のメタにとっては誤差といえる金額ですが、広告主に戻ってきてほしいTwitterにとっては大きなプレッシャーになるでしょう。
参考までに。ツイッター社の公開されている最新の決算短信(2022年第2四半期、上場廃止後は非公開)によれば、売上のうちデータライセンスは8.6%にとどまり、残りの91.4%は広告収入によるものです。広告の比率は年々増加傾向にあったところです。特にモバイル経由の利用者が増加し、広告の売上を後押ししていました。
「広告収入が最大50%減少した」をそのまま素直に受け取り、既知の値から概算すると、売上総額は比較対象と比較して54%にまで減少していることになります。大打撃には違いありません。無論イーロン氏による政治的方策を嫌う界隈の広告出稿停止は痛手ではありますが、今回のように(止む無き事情があるとはいえ)突然利用の制限を行うのが繰り返されると、広告出稿先としての魅力が減退することは否めません。
なお2022年第2四半期時点での累積赤字は8億8686万7000ドルでした。
ネットの反応は?
ツイッターに限ったことじゃないけど、SNSで広告効果出すのは難しいね。モバイルアクセスでは、インプレッションは多くてもCVにつながらないね。電車やバスで多くの乗客がツイみてるけど、移動中に広告を見てスポンサーにアクションなどしないでしょう。インプレッション広告と割り切るしかないのであれば、広告主も含め工夫が必要だね。
編集後記
ネットの反応見るとAPI制限や凍結祭りの事などがあり、広告収入が減るのは当たり前だろうという見方の人が多いように感じます。
スレッズがTwitterとの機能に差がなくなってくると、さらにユーザー離れが加速しそうですね。
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