企業活動において「監査」は欠かせないプロセスです。ITパスポート試験でも、監査の種類やシステム監査人の要件などがよく問われます。この記事では、それらの基礎をやさしく整理して学んでいきましょう。
1. 監査の種類とそれぞれの目的
種類 | 説明 |
---|---|
会計監査 | 財務諸表などの会計情報が適正かを確認。主に公認会計士が実施。 |
業務監査 | 業務が効率的かつ適切に行われているかをチェック。経営改善の観点を含む。 |
情報セキュリティ監査 | 機密性・完全性・可用性といったセキュリティ要件が満たされているかを評価。 |
システム監査 | 情報システムが適切に運用され、リスク管理や統制ができているかを確認。IT部門や外部監査人が関与する。 |

2. システム監査人の要件とは?
システム監査を行う人には、以下のような厳格な要件が求められます。
- 外観上の独立性
監査対象部門や利害関係のある部門とは独立した立場にあること。 - 精神上の独立性
忖度なく、公平・中立な立場で監査を遂行できること。 - 職業倫理としての誠実性
職務に対して誠実に取り組み、情報漏洩や虚偽報告をしない倫理観があること。
3. よくある誤解と注意点
- システム監査は「IT部門のチェック」だけではありません。情報システムを活用する全社的な統制の観点が求められます。
- 会計監査と混同しがちですが、システム監査は業務プロセスやリスクマネジメントも対象です。
よくある質問(FAQ)
- Qシステム監査と情報セキュリティ監査の違いは何ですか?
- A
システム監査は「情報システム全体の適切な運用や統制ができているか」を広い視点でチェックします。
一方、情報セキュリティ監査は「情報の機密性・完全性・可用性」に絞ったリスクや対策状況をチェックする、よりセキュリティ特化型の監査です。
- Qシステム監査人になるには資格が必要ですか?
- A
必ずしも資格は必要ありませんが、情報処理安全確保支援士やシステム監査技術者試験(IPA)などを取得していると、専門性を証明できます。
また、企業内でシステム監査に携わるには、実務経験や独立性・誠実性の理解が求められます。
- QITパスポート試験ではどの監査がよく出題されますか?
- A
頻出なのはシステム監査とシステム監査人の要件です。
特に「監査の種類の違い」や「独立性とは何か?」といった知識を問う選択問題が多い傾向です。
【Q1. システム監査の目的として最も適切なものはどれか?】
A. 財務諸表の正確性を確認すること
B. 経営戦略の達成状況を評価すること
C. 情報システムのリスク管理と統制状況を評価すること
D. 会計基準の変更に対応しているかを確認すること
正解:
C
→ システム監査は、情報システムが適切に管理・運用されているかを評価し、リスク管理や内部統制の有効性を確認するものです。
【Q2. 「監査人の要件」として、業務との利害関係を持たないことを表す用語はどれか?】
A. 精神上の独立性
B. 職業倫理の誠実性
C. 外観上の独立性
D. 社会的責任
正解:
C
→ 外観上の独立性とは、外部から見て監査人が利害関係を持たず、中立であることを意味します。
【Q3. 次のうち、情報セキュリティ監査の対象として最も適切なものはどれか?】
A. 財務報告における収支の整合性
B. 社内文書のレイアウトチェック
C. サーバーのアクセス権限管理とログの記録状況
D. 役員の業務評価と報酬体系
正解:
C
→ 情報セキュリティ監査では、機密性・完全性・可用性の観点から、システムやネットワークの管理体制をチェックします。
【Q4. 次の監査のうち、企業活動全体の効率性や有効性に着目して行うものはどれか?】
A. 会計監査
B. 業務監査
C. 情報セキュリティ監査
D. 内部統制監査
正解:
B
→ 業務監査は、企業の業務活動が効率的・効果的に行われているかを検証します。
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