新年明けの6日、多くの企業や官公庁で仕事始めを迎えた中、退職代行サービスへの依頼が急増している。依頼者に代わり勤務先に退職の意思を伝えるこのサービスは、年末年始の「9連休」が例年より長かったこともあり、職場に戻ることへの心理的なハードルが高まったとみられている。
東京都港区にある転職・退職支援会社「アルバトロス」が運営する「退職代行モームリ」の都内事務所には、朝から依頼の電話が殺到した。これまでの1日あたりの最多依頼件数は約180件だったが、6日は午後5時時点で約4割増の250件以上となり、過去最高を更新した。
「モームリ」では、依頼者に代わって勤務先に退職の理由や意思を伝えるほか、退職届の郵送や職場備品の返送といった手続きを代行している。利用料は正社員や契約社員が2万2000円、アルバイトが1万2000円となっている。
依頼の退職理由は?
6日に寄せられた依頼の理由には、
年末までがむしゃらに働いてきたが、年明けで緊張の糸が切れてしまった
といった、年末年始の長期休暇明けが影響しているとみられるもののほか、
社長から度重なるパワハラがあった。有給を3日間取得したら『体調管理も仕事のうちだ』とボーナスを減らされた
労働環境の悪化でうつになったが、休職させてもらえなかった
といった職場環境の悪化を訴える声もあったという。
同社では、これまでもゴールデンウイークなど長期休暇明けに依頼が増加する傾向があったため、6日は通常より多い26人のスタッフ体制で対応にあたった。担当者は
件数が増えた分、スピード感をもって対応した。労働環境などに困っている人にとって『最後のとりで』のように利用してもらいたい
とコメントしている。
また、X(旧ツイッター)上でも「限界を感じた人にとって退職代行は大切な選択肢」「ブラック企業を日本からなくすために何ができるのか」といった投稿が相次ぎ、「モームリ」や「退職代行」が一時トレンド入りするなど、大きな反響を呼んだ。
専門家の反応は?
相応の理由や事情があり、退職代行を利用して退職することも方法の一つだと思います。しかし、自ら退職に関する話し合いや申し出ができない状況であると、これを繰り返し、何か納得がいかなかったり自分から話をすることが憚れるような事情があると退職代行頼みになってしまう恐れもあります。本来、退職の意思表示やそれに関する話し合いなどは労使双方で話し合い、自己解決すべきことです。話し合いや申し出がどうしても難しい状況である場合に初めて利用を検討するのが望ましいです。
年末年始明けに急増した退職代行の利用者たちは、心身の限界を理由とするケースが多いようだ。なかにはパワハラや労働環境の悪化など深刻な問題も含まれているのだろう。
人は3つの余裕を持つことで、賢い判断ができる。その余裕とは、精神的余裕、時間的余裕、経済的余裕だ。いずれかが著しく欠けていたり、すべてが足りないと思考停止に陥りがち。今回の連休は、普段より長い休みがあったことで自分を見つめ直すきっかけになり、一歩を踏み出す後押しとなったのかもしれない。
会社側も連休中に「我が身を振り返る」余裕があればよいのだが。
昨年、退職の相談は筆者が代表を務めるNPOにも多く寄せられた。理由は様々だが、労働のあり方が問われていると感じる。露骨なパワハラや長時間労働で精神疾患になって退職するケースは依然として多い。社会貢献したいという動機で、企業のSDGsの方針やエッセンシャルワークに代表される業務内容などに惹かれて就職したものの失望して退職するケース、さらには同僚が長時間労働で過労死し、証拠の隠蔽や口止めを命じられたために退職を決断したという相談まである。退職について、退職代行ビジネスに頼ってもメリットはあまりない。労災保険などの支援を受けられないし、退職の背景にある働き方が改善される効果はほとんどなく、むしろ問題を温存するのではないかと懸念する。私たちのNPOでは、精神疾患になった人の労災保険のアドバイスや、こうした働き方を問題化するサポートをしている。このような取り組みがますます重要になってくるだろう。
ネットの反応は?
長期休暇明けに「仕事が嫌になった」って理由で退職代行を使うのは、正直なところ甘えだと思うね。誰だって休み明けは気が重いし、働きたくない日だってある。それを乗り越えていくのが社会で生きる上での基礎なんじゃないかな。こういう理由で辞める人って、将来振り返ったときに後悔する気がするよ。
もちろん、パワハラや劣悪な労働環境なら辞めるのは正当だと思うけど、「緊張の糸が切れた」とかって理由じゃ、自分の成長もないし、結局どこに行っても同じことの繰り返しじゃない?自分の人生の舵を他人任せにせず、少しでも改善できる努力をする方が、後で得るものが大きいと思うけどな。
気持ちはすごくよくわかります。たぶん1年で一番足取りが重い日です。
助言でも何でもない。私が毎年自分に言い聞かせている言葉があります。「今日は居るだけ」。とにかく出勤しているだけと。だから今日も出勤して帰ってきた自分に100点をあげようと思います。
子供達も今週新学期が始まる。帰ってきたらおいしいものみんなで食べてお祝いします。
編集後記
本当につらい人は心が壊れる前に利用した方が良いと思う、軽い気持ちで利用する人はこれからのキャリアに与える影響を考えた方が良いと思う
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