50代に近づくと、新聞や雑誌の文字が読みにくくなり、「老眼かも」と感じることがある。しかし、30代でも3割以上が自覚のない「隠れ老眼」であるという調査結果がある。10月10日は「目の愛護デー」。この機会に目の健康状態を確認してみよう。
老眼の症状としては、小さな文字がぼやけたり見づらくなったり、読む対象を顔から離したり近づけたりしてピントを合わせたり、暗い場所で見えにくくなることが挙げられる。一般的には40代から老眼が始まり、その後加齢とともに症状に悩む人が増えると考えられている。
しかし、老眼の症状はもっと若い年齢から現れることもあるようだ。眼鏡市場を展開するメガネトップ(静岡市)が5月に実施した20~54歳の600人を対象としたインターネット調査によると、「30代の3割以上が隠れ老眼」であることが分かった。
老眼の自覚がないと答えた人に対し、老眼の症状に該当するか簡易検査で確認したところ、30代以上の3割以上に自覚がないまま老眼の症状が見られた。
年代別に見ると、30代前半で31.6%、30代後半で35.0%が該当している。まだ若い30代では、多少文字が見えにくくても、それが老眼の症状だとは気付きにくいことが「隠れ老眼」の原因の一つと考えられている。
我慢して老眼の対策取らない40代
一方で、老眼を自覚していると答えた30代の人は約13%にとどまったが、45~54歳では約65%に達し、より多くの人が老眼を自覚していることがわかった。
特に40代以降では、何の対策も取らずに日常生活を送る「がまん老眼」が目立つという。調査によれば、老眼を自覚している人のうち、40代前半では70.6%、40代後半では75.4%が対策を取っていなかった。しかし、50歳を超えると老眼を受け入れやすくなるのか、対策を取らない人の割合は66.7%と7割を下回った。
年齢とともに老眼に悩む人が増える中、なぜ気づかない人や、がまんして対策を取らない人が多いのか。
梶原一人院長
老眼は病気ではありません。目の中の水晶体が柔軟性を失って近くのものにピントが合いにくくなる調節異常という、加齢性の現象です
と話すのは、「眼科かじわらアイ・ケア・クリニック」(東京都墨田区)の梶原一人院長(65)。老眼は誰にでも起こりうるものであり、
梶原一人院長
老眼だけが原因で視力が低下することはないし、緑内障や白内障といった他の病につながることもない。不便になるだけ
と梶原さんは説明している。
近視だと老眼になりにくく、遠視だとなりやすいという話を耳にすることがあるが、これは誤解だ。
梶原一人院長
近視の人は普段から近くにピントが合っているので、多少見にくくなっても気づきにくい。逆に普段から近くにピントが合いづらい遠視の人は、さらに見づらくなるので老眼に早く気づくのです
とのこと。
早めの眼鏡で改善を
老眼の進行を遅らせたり根本的に改善したりする方法はなく、現実的な対策としては老眼用の眼鏡やコンタクトレンズを使うことが挙げられる。梶原さんは「付け外しの利便性や災害時の汎用性を考えると、老眼鏡や遠近両用眼鏡を使用するのが最善の対策です。老眼鏡を使っても、老眼が悪化することはありません」と話している。
ただし、スマートフォンやパソコンの使い過ぎは目の疲労を引き起こし、「見づらさ」につながるため、注意が必要だ。
日本人には「年寄りくさい」と老眼鏡を避ける傾向があるようだが、メガネトップの積木大輔さんは
積木大輔さん
症状が進んでから慌てて老眼鏡を使い始めると、慣れないため目が疲れ、気分が悪くなったり頭が痛くなったりすることもある。症状が軽いうちに慣れておくことです
と強調している。
また、老眼だと思っていた症状の裏には、緑内障や白内障などの病気が隠れている場合もある。梶原さんは
梶原一人院長
老眼かなと思ったら、一度眼科で検査することをすすめます
と呼びかけている。
編集後記
以前、原因不明の頭痛に悩まされ何件も病院をはしごしたのですが、これは目からくるものだと気づき眼下に行ったら、老眼ですと診断されました。。
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