ブラジルの最高裁がX(旧ツイッター)に対して8月31日からのアクセス遮断を命じたことにより、この措置が「過剰である」とする国内からの反対意見が強まっています。ルラ大統領への批判が高まる中、この命令を出した最高裁のデモラエス判事に対する弾劾の動きも見られ、この問題が大きな波紋を呼んでいます。
元大統領ボルソナロは、ブラジルでのXの停止命令を受けて、北朝鮮で利用できない状況とブラジルを比較し、「北朝鮮へようこそ」と述べ、米国のIT大手メタが運営する短文投稿サイト「スレッズ」でルラ政権を批判しました。一方、野党議員たちは、最高裁判事の弾劾を求めるとともに、国会での議論を促すなどして圧力をかけています。
この命令には、VPN(仮想専用線)を利用してXを使った場合、個人に対して1日に5万レアル(約130万円)の罰金を課す内容も含まれています。これについて、ブラジルの弁護士会は8月31日に最高裁に対し、市民に対するこの高額な罰金が憲法違反の可能性があるとして再考を求める申し立てを行いました。
この事態を受けて、ブラジルのXユーザーはスレッズやブルースカイなど他のソーシャルネットワーキングサービス(SNS)に移行し始めています。
Xサービス停止を最高裁が支持
8月31日から実際にXが使用できなくなっているが、Xのサービスは、同社が法的代表者の任命、罰金の支払い、およびコンテンツの制限などの全ての裁判所命令に従うまで停止が続くことになっています。
この状況に至ったのは、アレクサンドル・デ・モラエス判事が先月末に「Xが全ての裁判所命令を遵守し、罰金を支払い、ブラジルで新たな法的代表者を任命するまで、同社の運営を直ちに全面的に停止せよ」と命じたためです。
ブラジル最高裁判所には2つの小法廷があり、今回のXのサービス停止命令については、そのうちの1つが全員一致で支持しました。
Xは、イーロン・マスク氏の指示で先月17日からブラジルに法的代表者を置かずに運営をしていました。マスク氏は、モラエス判事からの「検閲命令」を理由にブラジルでの業務を即座に停止すると発表していましたが、サービスは引き続き利用可能でした。
この「検閲命令」とは、モラエス判事が2022年の選挙で敗れた元大統領ジャイル・ボルソナロの政権維持を支援した「デジタル民兵」に関する捜査の一環として、Xに一部のアカウントのブロックを命じたものです。この命令にマスク氏が従わなかったため、捜査対象にされていました。
現在、モラエス判事はデジタル民兵による偽情報の拡散を取り締まることを強化しています。
専門家の反応は?
Xのサービス停止については最高裁の5人の判事全員が賛成票を投じており、ルーラ大統領も支持しています。法的な手続きを踏んでいる以上、そう簡単に覆ることはなさそうです。
さらにStarlinkも制裁の対象になり、イーロン・マスク氏が所有するSpaceXの口座を凍結するなど対立が激化しています。マスク氏はこの問題が解決するまでStarlinkを無料で提供する構えです。
代替アプリに移行する動きもあるようですが、Xを利用していた2000万人以上のコミュニケーションやビジネスが突然停止するのはやり過ぎとの声もあります。投資家のビル・アックマン氏が「ブラジルが投資に適さない市場になる」と指摘しているように、外国企業にとって新たなリスクになるかもしれません。
民主主義国家では異例となるXの停止に踏み切ったブラジルですが、今回の命令を下したブラジル最高裁のモラエス氏は昨年にもテレグラムがブラジルの法律で義務付けられている法定代理人を任命しなかったことなどを理由に、一時的に利用が禁止する決定を下しています。
ただ、テレグラムの場合は先日、フランスで逮捕されたテレグラムCEOのドゥロフ氏は、ブラジルへの謝罪文を発表し、同国の法律を尊重することを約束したこともあって早々に停止は取り消されています。
Xのユーザーも多いブラジルだけに波紋は広がっていますが、ブラジル人は問題が生じた時、抜け道や代案を見つける国民性があり「ジェイチーニョ(臨機応変を意味するスラング)」を得意としています。スレッズに流れるユーザーーも多く、ブルースカイも今回の停止命令後、8月末から9月1日の3日間で、早々にブラジルで100万人の新規ユーザーを突破しています。
ネットの反応は?
日本でも災害時のインプレ稼ぎによる偽投稿が問題になっているのに、Xは何の対策もしないしねえ
遮断したくなる気持ちもよく分かる
ただ、私個人は情報を得るのに使ったり、色々なアカウントをXに紐付けしているので遮断されたらかなり困る
イーロンが鶴の一声で、嘘情報を意図的に流す輩にはX社が損害賠償を求める、と言いさえすれば随分減るだろうにねえ
適切な使い方さえされればSNSは便利なので何とかして欲しい
ブラジルでのiPhoneとAndroidのダウンロードランキングを観ると、BlueskyはXのサービス停止直後にランク外から突如1位に顔を出したので、紛れもなくXの代替として需要が爆発した感じ。
それに対してThreadsは、もう何ヶ月もずっとランク上位に居続けていて、Xの停止騒動とはあまり関係がない感じです。もちろんユーザーは一定数流れてるとは思うけど、Instagramがベースのサービスですし、そもそものユーザー層が違うんではないかと
編集後記
これ日本で同じ事が起こったらどうなるんでしょう?使えなきゃ使えないで別のツールに移行するだけな気がしてしまうが、、
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