システムの「信頼性」は、どれくらい長く安定して稼働できるかを表す重要な指標です。
稼働率やMTBF(平均故障間隔)、MTTR(平均修復時間)などの数値をもとに、
「このシステムは止まりにくいか」「止まってもすぐ直るか」を評価します。
この記事では、稼働率の計算方法、直列接続・並列接続での稼働率までを、図解と例を交えて解説します。
稼働率(Availability)
一言でいうと:運用時間のうち、システムが正常に稼働している割合
稼働率 = MTBF / (MTBF + MTTR)

MTBF(Mean Time Between Failures/平均故障間隔)
- 次の故障までの平均時間
- 大きいほど信頼性が高い
例:MTBF = 1,000時間 → 平均1,000時間ごとに1回故障する
MTTR(Mean Time To Repair/平均修復時間)
- 故障してから復旧するまでの平均時間
- 小さいほど復旧が早く、稼働率が高くなる
例:MTTR = 2時間 → 故障時は平均2時間で修復
故障率(Failure Rate)
- 一定時間あたりの故障発生頻度
- 故障率 = 1 / MTBF
直列接続の稼働率
- 全ての機器が正常でないとシステムが動かない
- 稼働率(全体) = 各機器の稼働率の積
- 例:A(0.99)とB(0.98)の直列 → 0.99 × 0.98 = 0.9702(97.02%)
並列接続の稼働率
- どちらかが動けばシステムは動く
- 稼働率(全体) = 1 − (全機器が同時に停止する確率)
- 例:A(0.99)とB(0.98)の並列 → 1 − (0.01 × 0.02) = 0.9998(99.98%)
よくある質問(FAQ)
- QMTBFとMTTRはどう関係しているの?
- A
MTBFは故障しにくさ、MTTRは直しやすさを示し、両方を使って稼働率を計算できます。
- Q稼働率99%って高いの?
- A
一見高そうですが、1年に約3.65日停止している計算になるため、ミッションクリティカルなシステムでは不足です。
- Q並列構成の方が信頼性は高い?
- A
一般的にそうですが、コストや管理の複雑さも増えるため、要件に応じて選択します。
練習問題
Q1. 稼働率の計算式として正しいものはどれ?
A. MTTR ÷ (MTBF + MTTR)
B. MTBF ÷ (MTBF + MTTR)
C. MTBF × MTTR
D. MTTR ÷ MTBF
正解:
B
→ 稼働率は MTBF ÷ (MTBF + MTTR) です。
Q2. MTTRが短くなると稼働率はどうなる?
A. 下がる
B. 上がる
C. 変わらない
D. 計算できない
正解:
B
→ MTTRが短い=復旧が早い=稼働率が上がります。
Q3. 並列接続の稼働率の計算として正しいものはどれ?
A. 各稼働率の積
B. 1 − (全停止確率)
C. (稼働時間+停止時間) ÷ 稼働時間
D. MTTR ÷ MTBF
正解:
B
→ 並列は「どちらも止まる確率」を引いて求めます。
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