簿記3級では、取引の記録をもとに「試算表」という表を作成します。
中でも「合計残高試算表」は、帳簿の集計結果を確認するための基本となる資料です。
この記事では、合計残高試算表の概要から記入の仕方までを、例題つきでやさしく解説します!
合計残高試算表とは?
▶ 合計残高試算表ってなに?
合計残高試算表とは、各勘定科目の「借方・貸方の合計額」と「残高(差額)」を一覧にまとめた表のことです。
▶ 作成の手順(仕訳から試算表まで)
① 取引を仕訳帳に記録する
↓
② 総勘定元帳に転記する
↓
③ 各勘定の「合計額」と「残高」を出す
↓
④ 合計残高試算表に記入する
▶ 「合計残高試算表」の構成と例
勘定科目 | 借方合計 | 貸方合計 | 借方残高 | 貸方残高 |
---|---|---|---|---|
現金 | 500,000 | 200,000 | 300,000 | – |
買掛金 | 50,000 | 500,000 | – | 450,000 |
→ 各勘定科目ごとに「合計」欄と「残高」欄があります。
→ 残高 = 借方合計 − 貸方合計(または逆) の差額で求めます。
▶ ポイント:合計が一致するのが正解!
合計残高試算表では、最終的に「借方残高合計」と「貸方残高合計」が一致していれば、帳簿上は正しく記帳されています。
▶ 実務でも重要な資料
この表は、決算や月次業務の資料としても広く使われています。
正しい帳簿管理の第一歩として、しっかり理解しておきましょう。
よくある質問(FAQ)
- Q残高試算表と合計残高試算表は何が違うの?
- A
「残高試算表」は差額(残高)のみを記録するのに対し、「合計残高試算表」は借方合計・貸方合計と残高の両方を記載します。
- Q試算表で借方と貸方の合計が一致しない場合は?
- A
転記ミスや集計ミスの可能性があります。仕訳帳や元帳に戻って確認しましょう。
- Q試算表に記載する勘定科目はどう選べばよい?
- A
総勘定元帳に記録されているすべての勘定科目が対象です。
- Q合計残高試算表は電卓だけで作れますか?
- A
はい、可能です。電卓と総勘定元帳の合計を照らし合わせながら集計します。
※実務ではExcelや会計ソフトを使うことが多いです。
簿記3級 記述式問題《本試験レベル:合計残高試算表》
【問題】
次の資料は、ある会社における月末時点の総勘定元帳から抜き出した各勘定の借方・貸方の合計です。
これをもとに「合計残高試算表」を作成しなさい。
勘定科目 | 借方合計 | 貸方合計 |
---|---|---|
現金 | 500,000 | 200,000 |
当座預金 | 300,000 | 100,000 |
売掛金 | 400,000 | 50,000 |
商品 | 700,000 | 400,000 |
備品 | 500,000 | 50,000 |
支払手形 | 100,000 | 300,000 |
買掛金 | 50,000 | 500,000 |
売上 | 0 | 1,000,000 |
仕入 | 600,000 | 0 |
給料 | 200,000 | 0 |
資本金 | 0 | 900,000 |
【設問】
- 合計残高試算表を作成しなさい(借方残高・貸方残高の列に記入)。
- 合計残高試算表の借方合計・貸方合計が一致するか確認し、もし差がある場合はその理由を考えなさい。
解答・解説
【解答1】合計残高試算表
勘定科目 | 借方残高 | 貸方残高 |
---|---|---|
現金 | 300,000 | |
当座預金 | 200,000 | |
売掛金 | 350,000 | |
商品 | 300,000 | |
備品 | 450,000 | |
支払手形 | 200,000 | |
買掛金 | 450,000 | |
売上 | 1,000,000 | |
仕入 | 600,000 | |
給料 | 200,000 | |
資本金 | 900,000 | |
合計 | 2,400,000 | 2,550,000 |
【解説】
- 残高とは、各勘定科目の「差額(借方合計-貸方合計 or 貸方合計-借方合計)」を表すもの。
- 差額が借方に出れば「借方残高」、貸方に出れば「貸方残高」として記入。
- この表では「借方合計 2,400,000円」「貸方合計 2,550,000円」となり、150,000円の不一致が出ています。
【解答2】合計の不一致の原因
理由の例:
- 総勘定元帳の転記時にミスがあった(例:売上の転記漏れ、桁の間違い)。
- 試算表に記載する際の借方・貸方の入れ違い。
- 一部の勘定(例:減価償却費など)を記載し忘れた。
補足メモ
- 合計残高試算表は、「仕訳・転記の正しさの確認」に使うものです。
- 本試験でも、金額や勘定科目の「差額ミス」や「入れ違い」を正しく発見できるかが問われます。
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