プライベートではともかく、職場で方言を話す人についてどう感じるか──。個人の感じ方に違いがあるこの問題について、真剣に考えてみたいと思います。方言を上手に活用すれば、むしろ仕事に良い影響を与える可能性もあるのではないでしょうか？
仕事の場で方言を使うのはナシだと思う人の意見
仕事の場で方言を使うことって、失礼だと思うんです
神戸市で会社員として働く53歳の女性は、現在職場で「非常に不快な思い」をしている。彼女はもともと九州出身で、以前勤務していた東京の会社では「標準語」で同僚とコミュニケーションをとっていた。
当時から関西出身の人が職場で方言を使うのが苦手で。すみませんと言えばいいところを『えろうすんまへん』、大丈夫ですよは『かまへん、かまへん』とか。やめてほしいなと
ところが、その会社が5年前に関西の企業と合併し、今では毎日関西弁に囲まれる生活になってしまった。
仕事なのに、関西弁という方言を使うことが当たり前だと思っている感覚がまず疑問。東京弁はときに『冷たく聞こえる』と言われますが、仕事って基本は無機質なものだと私は思っています。方言で相手と近しくなれることもあるでしょうが、私は使いたくないですね
仕事の場での方言使用は「失礼」にあたるのか。日本サービスマナー協会の宮内優衣さんは、マナーの観点から「ビジネスの場では標準語が適切です」と述べる。
宮内優衣さん
マナーとは、『相手目線』が基本。方言を使うことで相手にその表現が伝わりにくくなってしまうようではNGです。たとえば私の出身地・茨城には『ごじゃっぺ』という『（悪い意味で）適当』という意味の表現がありますが、社内の会話で上司に『先方の担当者がごじゃっぺで、まだ返事が来ません』と言っても伝わりませんよね
方言だけでなく「訛り」にも注意すべき
地域特有の言葉としての方言には気をつけることができても、イントネーション（訛り）まではなかなか修正しづらいものです。宮内さんは「そこは許容範囲」としながらも、注意が必要な点があると指摘しています。
宮内優衣さん
プレゼンテーションや公の場では、聞き慣れないイントネーションに気を取られて重大な情報を聞き逃すなど、情報を取り入れる側にとっての阻害要因になることも。社内の簡単なコミュニケーションなら問題ありませんが、公の場ではイントネーションにも注意すべきです
とはいえ、たとえば広島の企業では日常的に広島弁が飛び交うのが自然なことと感じる人も多いでしょう。その場合でも、「仕事だからこそ標準語で」と心に留めておくべきなのでしょうか。
宮内優衣さん
ふだんの言葉遣いがいざというときに出てしまい、相互理解に支障が出ることもあり得ます。ただ、方言を話題として良好なコミュニケーションが築けることもしばしば。『マナーは引き算』です。基本をおさえた上で臨機応変に振る舞いたいですね
方言をアリだという方の意見 プレゼンの「飛び道具」に
異なる意見もあります。管理職研修の経験が豊富なマネジメントコンサルタント、濱田秀彦さんは「基本的にOK」という立場です。
私は東京出身ですが、方言を交えて話す相手にコミュニケーションで違和感を持ったことはありません。以前、営業の部署にいたとき、関西出身の部下がお客さんに見積もりを仕入金額でファクスしてしまったんです。かなりシリアスなミス。でもそのとき彼が『やってもうたー！』と。私は叱れなくなっちゃった（笑）。場を和ます、不思議な効果があったことを覚えています
また、濱田さんは都内企業でのプレゼンテーション研修で、関西から転勤してきた20代の受講者から
私は関西人で、つい関西弁が出るのですがまずいでしょうか
と相談されたこともあります。
問題ない、と伝えました。短時間に多くの人がプレゼンをするような場合、内容で印象に残すのが王道ですが、方言で印象に残るのもアリ。飛び道具として、むしろ使ったらいいと
方言もうまく活用すれば、むしろ仕事にプラスになるかもしれません。
チャットGPTさんに方言に関して聞いてみた
方言に関する記事が書かれていますが、チャットGPTさんは方言で質問された時に困ったことありますか？
方言で質問されることについて、困った経験は特にありませんが、理解の難易度が上がることはありますね。日本の方言は非常に多様で、地域によって表現や語彙が異なるため、文脈やキーワードを頼りに意味を推測することがあります。
方言の特徴を捉えることは楽しい挑戦ですが、場合によっては少し時間がかかることもあります。その時は丁寧に確認しながら対応していますので、もし方言での質問があれば、気軽に聞いてくださいね！
ネットの反応は？
仕事の場でもプレゼンとかでは方言によっては伝わらないことがあるのでだめでしょうが、社内の会話なら構わないんじゃないですか？
この方は単に関西の人を嫌ってるだけに聞こえます。
標準語だけが日本語じゃないです。
方言もちゃんとした日本語なんです。
それを自分が嫌な気分になるからと否定し、仕事の場全般で使うことを禁じるのはちょっと違うと思います。
中小企業の経営者です。
そもそも、「方言かどうか」を気にしたり論じている時点で、会社のレベルとしては、かなり低いと言わざるを得ません。
グローバル化のこの時代、外国の方とも交えて仕事をせねばならぬのに、同じ日本人同士で「方言が気に入らない」「方言だと気が散る」という時点で、日本ですら競争の土俵に立てていない企業なのではないでしょうか。
コミュニケーションは、あくまでも手段です。
それなのに、手段を目的や結果のように扱う意味のない目線があるからこそ、排他的な姿勢になってしまうのだと感じました。
そもそもアクセント辞典に掲載された「標準語」と、関東地域で話されている「東京弁」「神奈川弁」の間にも違いはあります。特に形容詞や形容動詞では顕著なものも。首都圏生まれ首都圏育ちだからと言って方言と無関係かと言われるとそうではなく、「標準語」とは違う「関東弁」を話している方がほとんどかと思います。 方言か標準語か、というようなことに囚われることなく、TPOに合わせて相手が聞き取りやすい話し方をすると良いと思います。ビジネスシーンで方言を武器に闘っていらっしゃる方々にお会いしたことも少なくありません。「ビジネスシーンでは方言で話すな」というのは、ご自分を標準語話者だと信じ込み地方を軽んじた方の極論に聞こえます。
編集後記
自分は方言を話す方が場が和むと思いますし、会話のきっかけにもなると思うので良いと思いますね。あとは相手に伝わる程度の方言の出し方をできるかどうかな気はします。
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