LINEのメッセージ交換で、あなたは文末に「。」を使っていますか?何気なく使った「。」が、怒っていると解釈されてしまうこともあるようです。若者たちの間でのこのような感覚は、中高年層にとって意外かもしれません。
LINEの句読点使用 世代間ギャップとは?
ITジャーナリズムに精通している高橋暁子さんは、若者のSNSの使い方について述べ、LINEの使用方法に関して世代間の違いが存在すると指摘しています。
高橋暁子さん
ガラケー世代で、相手がいつ読むかわからないメールの文化を引きずっている大人は、挨拶から入り要件を伝えて結びの言葉、と文章が長い。当然、そこには句読点が多く入る。でもリアルタイムでのやりとりが当たり前の若い世代は、句読点を一切使いません。だからたまに目にするLINEでの句読点に、『かしこまっている』という印象や威圧感、怒りの感情を読み取ってしまうのだと思います
一部の若者たちは、意図的にLINEのメッセージで句点を使用することがあるそうです。例えば、22歳の大学生は次のように述べています。
『笑』がついていたら怒ってないということ。『爆笑』がついていたら冗談。絵文字も『笑』もついてなかったら少し怒ってる。『。』がついていたらその怒りの強調、という感じです
例えば、「いいと思うよ笑」というメッセージは同意を示していますが、「いいと思うよ。」という場合は、不満はあるけれども相手に任せる、といった意味合いになることがあり、このようなニュアンスは受け手も理解しているようです。高橋さんはこの点に注目しています。
高橋暁子さん
実際に句点がついたメッセージを受け取ったときに『あ、怒ってる』と自分が感じた感覚を再現する意味で、じゃあ自分も怒りを伝えるときには句点をつける、そうして広がっていっているのではないかと思います
句点複数で共感性表す
SNSでのコミュニケーションにおいて、句点が思いがけず相手に特定の感情を伝えることがあります。孤独や虐待、DVの影響で自殺リスクを抱える若者にオンラインで匿名相談を提供するNPO法人「あなたのいばしょ」の理事長、大空幸星さんも、句点の使い方には注意を払う重要性を語っています。
理事長
大空幸星さん
若い世代が句点から怒りの感情を読み取るのは、句点で会話が切られることで『コミュニケーションを続けたくない』という意思表示に受け取るからかなと思います。一方で、私たちはチャット相談の中であえて句点を使うこともあります
相談では聞き手の姿勢が中心で、質問は通常は主要ではありませんが、時には必要になることもあります。例えば、相手の状態を尋ねたい場合、「あなたのいばしょ」では、相手にイエスかノーで答えさせるような「?」の使用を控える方針をとっているそうです。
理事長
大空幸星さん
かといって句点で止める問いかけをしてしまうと会話を切ることになるので避けたい。そんな場合はたとえば『そうだったんですね。。。。。。』と打ちます。句点を複数にすると逆に、共感性が生まれてくるんです
気遣いのすれ違いが
質問をすることはしばしば相手の内面に深く関わることであり、その過程で「侵襲性」が生じることがあります。このような事態を極力避けるために、大空さんは若者の間で一般的な句点の多用を意識していると述べています。
理事長
大空幸星さん
チャット相談には声色などの非言語情報がなく、感情の変化や揺らぎはチャットの文字に目を凝らし、読み取るしかない。改行なしの長文で思いの丈を書いてくる人は『かなりいろんな思いを抱えておられるな』とか、句点が多い人は『相手のことも少し気遣いながら話をしておられるんだろうな』など、そこからパーソナリティーの側面を判断することもあります
句読点の使い方一つで、異なる世代間での共感が生まれたり、思わぬ誤解が起こったりすることがあります。このような状況において注意すべきことは何か。高橋さんは、「無理解なままお互いを否定しないこと」と指摘しています。
高橋暁子さん
若い世代が句読点を廃し、短い言葉でやりとりする背景には、タイパの意識が強い世代であることも大きい。無駄なやりとりはせず相手を待たせない、ということも彼らにとっては正義だし、気遣いでもあるわけです
一方、大人の世代は、句読点を使って相手が読みやすい文章を心がけ、長文でもしっかりと意図を伝えることを重視します。これは相手への配慮の表れです。高橋さんによると、この違いは単に両世代の気遣いの方法が異なるだけだとのことです。
高橋暁子さん
少し歩み寄ってみるのもありかなと思います。大人が若い世代にLINEするときは句読点を減らしてみる。逆に若い世代は、失礼と思うらしいし冒頭に少し挨拶でもつけておくか、とかその程度でもいい。大事なのはふだんのコミュニケーションです。LINEで怒ってるかなと感じても、対面で『すみません、何か怒らせましたか』『そんなことないよ』みたいなやりとりができる関係を日頃から築いておけば、それほど深刻な問題にはならないと思います
ニュース用語説明
侵襲性 とは
「侵襲性」という言葉は、通常、心理学や社会学などの分野で使われることが多く、他者の心理的な境界やプライバシーを無理に侵入、干渉するような行為を指します。簡単に言えば、他人の感情や精神的なスペースに強引に踏み込むことで、相手を不快にさせたり、ストレスを与えたりするような性質や行動を意味します。例えば、過度に個人的な質問をする、無理強いする、強い口調で話すなどが、侵襲性のある行動と見なされることがあります。この言葉は、相手に対する配慮や尊重が欠けている状況を表すのに用いられます。
ネットの反応は?
若者=現代ではない。こちら側が試行錯誤して歩み寄っても、若者側がそれを拒否する傾向がある今、分かってくださいは通らない。それでもどうにか答えに近いものを探すのは大人の仕事。ただ、主張が通らないと、その背景を読み解かず、知ろうとせず、こういう大人、どう思いますかって自分のミスは隠し、正当化する被害者面する様な若者も増えた。
現代に柔軟に対応できない大人も問題あるが、主張すれば通り、その後無責任ですの若者も問題。だから一方通行ではなくお互い歩み寄りは必要。
句読点を避けて、使う人を古い人扱いするのも自由にすればいいけど、社会に出てメールで外部、社内でも他部署にビジネス文章を送る時は嫌でも句読点つけないと拙いよ。 そういう仕事と縁のない仲間内だけのコミュニケーションしかないなら、まあしょうがないよね。
20代後半だから若者ではないけれど。
上司がよく「。」を使います。
絵文字なども、こちらからすると怒っているのかな?と思うような不自然なものもあるけれど、上司なりに気を使って言葉や絵文字を選んでくれていることに気付いてからは、嬉しささえ覚えました。
若者に歩み寄ろうとする対応も勿論大事かもしれませんが、若者が理解しようとすることも必要だと思います。
国語の授業で習った「。」の使い方が正しいです。
その共通のルールや常識を理解していかなければ、社会に出てから若者は苦しみます。
学校生活から社会生活へ。友だちとの関係から幅広い上下関係へ。 若者も変わっていく生活に対応できる力を備えていく必要があると感じます。
編集後記
句読点を使わない若者達が大人世代になったら仕事メールのやり取りも句読点なしとかで来るのかなぁ。読みづらそう(笑)
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