石破首相は22日、公立高校の受験機会を広げるため、現在多くの都道府県で採用されている「単願制」の見直しを関係省庁に指示した。新たな制度では、受験生が志望校に順位をつけて複数校を申請し、共通試験などの結果に基づき、その中から1校に合格する仕組みを想定している。これは、高校授業料の無償化によって私立校人気が高まる中、公立高校をより選びやすくする狙いがある。

政府が導入を検討しているのは、「デジタル併願制」と呼ばれる仕組みで、受験生が複数の高校を希望順位付きで提出し、共通試験の結果や内申点などを反映させて、合格基準を満たした中で最も志望順位の高い高校が自動的に割り当てられる方式だ。この制度では、複数の高校で個別に受験する必要がなく、合否判定もシステムによって一元的に処理できるため、学校側の業務負担軽減にもつながる利点がある。
現行の単願制は、公立の進学校や伝統校を目指す受験生にとって、失敗を恐れて難関校への挑戦を控えてしまうといった問題があった。「デジタル併願制」を導入すれば、最終的に成績に見合った学校に合格できるため、受験生は安心して高い目標に挑戦しやすくなる。
このような仕組みは、米ニューヨーク市の高校入試や、日本国内では保育所の入園調整などでも活用されている。石破首相は22日の「デジタル行財政改革会議」にて、「メリットや現場の課題を考慮し、希望する自治体での事例創出の具体化を図ってほしい」と述べ、文部科学省およびデジタル庁に対して対応を求めた。
なお、高校の授業料については、公立が本年度から、私立が来年度から実質無償化されることになっており、今後、私立校の選択肢が増えるとの見方がある。政府は、受験制度の見直しを通じて、公立校の受験を後押しし、「公立離れ」の流れに歯止めをかけたい考えだ。
専門家の反応は?

今年の東京都の高校入試では、都立高校全日制の志望率は前年度比5.01ポイント減の66.97%と大幅に減りました。高校無償化の影響です。無償化といっても年間48万4,000円までしか助成されません。本当は都立を受験したいけれど、一校しか受験できないから確実な私立単願を選択したパターンも多いようです。また、無償化されてない自治体ですと、それは他の全国の受験生も同じでしょう。複数志望できるようになれば公立受験がしやすくなります。内申点や模試偏差値で判断され、希望する高校を受けさせてもらえないということもなくなるわけです。一方で難易度が高くない公立高校は入学者が減ったり、入学者の学力レベルが下がったりする可能性があり苦戦を強いられる可能性もありましょう。
ネットの反応は?

これが実現されたらありがたい。
私立には行かせられないので、どうしてもワンランク落として安全圏を受験することになるから、せめて2校受験できれば希望校も受験可能になる。
すぐにでも実行してもらいたい。

宮城県ですが、仙台市以外では、半数以上が定員割れしています。酷いところだと定員の半分どころか1/3にも満たない学校もありますね。公立高校合格発表後には2次募集もしていますが、正直言って行きたいような学校はほぼ無く、滑り止めの私立に行くしかありません。個人的には公立高校は共通試験にして、願書に第一志望から第三志望くらいまで提示し、合格者を振り分けたらどうかと思います。また、定員を著しく割っている学校の統合/再編を早く進めるべきだと思います。

いい取り組みだと思いますが、同時に内申点システムも改善してもらいたいです。個々の先生によって成績の付け方が違うのに、入試の点数に大きく響く点で公立の受験は意味が分からないです。完全に当日の点数と最低限の内申(出席日数など)で複数校受けれることができるのなら、受験者数も大幅に上がるのかなと思います。
編集後記

今までなぜ公立は単願しか認めてなかったのか。この制度は早く検討を進めてほしいですね。
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