「就活に親が参戦」は当たり前?オヤカクとは?

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親が就職活動に積極的に関わる現象が増えていることが明らかになった。2023年の就職情報会社の調査結果によると、企業から内定を得た学生の親が、子どもの入社意向を確認する「オヤカク」と呼ばれる連絡を受けたケースが半数以上に上ることが確認された。また、大学では親を対象とした就職説明会や個別の相談会が開かれることが増えており、就職活動における親の役割が拡大している背景を探ってみました。

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採用には「オヤカク」が必要

バイセルテクノロジーズ(新宿区)は、2021年の新卒採用選考から保護者を巻き込んだ「オヤカク」を導入している。この取り組みは、親が会社を知らないことから不安を感じたり、その反対で学生が内定を辞退する事例が発生したことから始まった。採用担当の小泉俊一さんは

バイセルテクノロジーズ<br>採用担当<br>小泉俊一さん
バイセルテクノロジーズ
採用担当
小泉俊一さん

一緒に働きたいと思っていた人材に内定後に辞退されるダメージは大きい。学生だけでなく保護者も納得しないと採用が難しい時代となり、不安を事前に解消しよう、という考えが生まれた

と述べている。

具体的には、内定通知の際に学生に親の意見を問い、不安があればそれを詳細に聞き取り、会社のパンフレットを送るか、担当者が直接電話で説明するなどして対応している。特に残業の有無や手当ての詳細について親からの質問が多く、会社の説明でほとんどの場合、納得してもらっている。

2024年卒の採用では、約240人の学生全員に対し、9人の担当者がオヤカクを分担して実施している。小泉さんは

バイセルテクノロジーズ<br>採用担当<br>小泉俊一さん
バイセルテクノロジーズ
採用担当
小泉俊一さん

学生の今後の人生を一部預かると考えれば、企業として保護者への説明義務がある。学生も保護者も安心した状態で入社を決めてもらうのがベストで、長期的に見れば早期離職も防げると思う

と説明している。

保護者の半数が「オヤカク」を経験

就職情報会社マイナビが2024年1月に行った「2023年度の就職活動における保護者の意識調査」によると、子供が内定を受けた851人の親のうち、企業からの「内定確認の連絡」を受けた割合は52.4%であり、これは18年度の調査開始以来、初めて半数を超える結果となった。この数値は、18年度の17.7%から顕著に増加している。また、子どもが内定した企業に反対したかどうかの質問に対しては、「反対しなかった」が96.1%で、「反対した」は3.9%だったという結果が出ており、ほとんどの親が子どもの選択を支持しているようだ。

さらに、2024年卒の内定者に対する意識調査では、内定先決定に際して誰かの助言や意見を求めたかを尋ねたところ、「父親・母親」が61.9%で最も多く、次いで「友人(学校内)」が23.9%、「誰の意見も聞かなかった」が21.5%となった。マイナビの担当者は、

マイナビの担当者
マイナビの担当者

学生の意思決定への保護者の影響は大きいと言え、こうした背景から内定学生の親に同意の確認を行う企業が増えていると考えられる

と分析している。

親向けの就活説明会は大盛況

大妻女子大(千代田区)で行われた親向けの就職活動説明会には、650人を超える参加者が集まり、中には夫婦で参加する姿も見られた。大学の就活支援スタッフが、就職活動のスケジュールや子どもとの向き合い方について解説すると、多くの親が熱心にメモを取りながら聞き入っていた。

50代の女性は

50代女性
50代女性

こんなに参加者がいるとは思わなかった

バブル時代に就活した自分とは状況が違うので、娘に間違ったアドバイスをしたくないと思って参加した。就活は本人が主体で、あまり親が出過ぎないようにしたいが、一人っ子なので本心は心配

と述べた。

また、40代の女性は

40代女性
40代女性

普段から娘と積極的に会話してどういう会社が良いのか、一緒に考えていきたい

と話し、その場にいた大学3年生の娘も

大学3年生の娘
大学3年生の娘

悩みは親に話して意見をもらいたい。自分の決めた会社は親にも納得してほしいと思っている

と話していた。

一方で、甲府市から来た40代の男性は

就活情報を入手できるのはありがたいが、大学でも親向けの説明会があるなんて過保護になったなと感じる

と複雑な感情を表に出していた。

大学も手厚いフォロー展開

大妻女子大では親向けの就職活動説明会が全学年を対象に開催され、2年連続で参加する親も多い。就職支援センターの井上信人課長によると、

就職支援センター<br>井上信人課長
就職支援センター
井上信人課長

就活環境は1年で激変する。子どもをサポートするために最新の情報を知りたいという人が多い

とのこと。

また、青山学院大(渋谷区)では親向けに就活ガイドブックを作成し、就職活動中の親の振る舞いで学生が感じた良い点や苦労した点を紹介している。青山キャンパスでは毎年6月ごろに説明会や個別相談会が開かれ、特に人気があり、今年は約100組が参加した。参加者の中には、就職活動が停滞している4年生の保護者が子どもに内緒で訪れることもあるという。進路・就職センターの担当者は、

進路・就職センター担当者
進路・就職センター担当者

保護者が子どもの就活に無関心でいるのは良くないが、前のめりになり過ぎている場合もある。学生の意向を尊重し、見守ってもらえるように呼び掛けている

と呼びかけている。

東北大(仙台市)では、学生の就職活動事例をまとめた親向けの講座や個別相談を実施しており、多くの保護者が「就活や進路について親としてどう対応したらいいか」という相談を持ちかけているという。

就活に親の介入は不可避?

就職活動における学生、親、企業の関係について、人事コンサルティング会社「人材研究所」(港区)の曽和利光代表からの見解を聞いた。曽和氏は、

人材研究所<br>曽和利光氏
人材研究所
曽和利光氏

オヤカクの背景には学生の売り手市場と一人っ子の増加などが関係している

と指摘。現在の人手不足の状況下で、特に高卒や中途採用を含む幅広い採用市場において人材確保の競争が激化しており、大卒市場が最も採用が行いやすいため、企業はここで確実に人材を獲得しようと努力していると述べた。

出生動向基本調査によると、一人っ子の割合は30年前の2倍に達し、全体の20%を占めている。

人材研究所<br>曽和利光氏
人材研究所
曽和利光氏

子どもへの関心が高まり、保護者が就活に介入するようになってきた。企業側は、保護者の心配を解消することが学生の内定辞退の防止につながると考え、オヤカクをするのが常識という雰囲気になっている

と曽和氏は分析する。

曽和氏は、少子化が進む中で親子の距離が縮まると、親が就職活動に参加することが一般的になるだろうと予想。しかし、保護者が現在の就職状況を理解していないために誤ったアドバイスをするリスクにも言及。「急成長しているBtoB企業や、従業員数5000人以上の大企業の厳しい求人状況を理解していない保護者が、無理解から大企業への応募を勧めることもある」と指摘した。

親に対する期待については、

人材研究所<br>曽和利光氏
人材研究所
曽和利光氏

大学が説明会を開くのは、過保護だからではなく、保護者に正しい情報提供をして適切な関わり方を求めているというのが真の狙いでしょう。就活に関する情報やサービスは充実していても、最終的には自分を第一に考えてくれる保護者を信頼して意見を求める学生は多い。保護者もしっかりと準備した上でサポートしてあげてほしい

と述べている。

専門家の反応は?

話は飛躍しますが、子の就職に親が関与することがもし当たり前の風潮になったとするならば、その後には子の結婚にも親が関与するのが当たり前となるようになるかもしれません。就職も結婚も「親が保障したい子の将来」という点では共通します。丁度、明治時代に、一部の武士階級や上流階級が行っていた家と家との媒酌結婚が庶民にも広まった時のような「先祖返り」が起きるかもしれない。

すでに東京では、生まれてきた子の半数は世帯年収1000万円の子であるし、そのうち1500万もしくは2000万以上の世帯年収のパワー親同士が自分たちの子のパワー結婚を取り仕切るようになっていくのもあながちあり得ないとは言えない。

大正時代だったか「恋愛結婚は野蛮なもの」などと喧伝された時代もあったが、そういう風潮の復活もあるかもしれないとこの記事を読んて思った次第です。

信頼できる相談相手が保護者であれば、保護者の意見も取り入れて最適な企業を選びたい心理が働くのはいまに始まったことではないのではないでしょうか。

就活を行うのは22歳前後の若者で、これだけ情報がさまざまな形で出ると、募集をかける企業が出す情報にも敏感になります。

一方、保護者の意見と子どもの意思決定にどれほど強い関係があるのかはわかりませんが、本人が最終的な決断をしているのであれば、保護者の意見は意見として、自己決定ができる若者ということになります。

ネットの反応は?

今までのルートを親の言うとおり、塾の言うとおりで来たら、そうなるだろうね。 社会の先輩としてのアドバイスくらいなら良いとは思うけど、一生そうやって親の分身のように子の人生に関わるのかな。

子離れも親の愛情だよ。可愛い子には旅をさせるんだよ。中高生くらいになったら、少しずつ見守る側になって、親がつまづく小石を先に拾って歩かないんだよ。中学受験の気分のまま、人生まで親子同伴しない。どうせ親は先に去り、一人で歩む日が来るんだから、本人自身で考え決断出来るようにしてあげないと。

30年前、新卒で大手に就活した時、会社から実家の近所に評判をそれとなく聞いて回る探偵調査が入ってました。

そして、入社後、会社の事業部長クラスの上司が、実家の家庭訪問をして親に挨拶してました。 親は喜ぶんですよね。信頼できるいい会社だと。

入社後、会社に家庭訪問の意義はわかるが、社員を子供扱いするのは良くないと上司にクレームを出した記憶があります。

この時代なら結構若生意気な行動だったなと思いますが、いまだに近い文化があるんですね。 メリットはあるとは思うがオヤカクは、あまりに幼稚な文化に見えます。

だた、内定辞退は確かにロスだし、卒業も決まってないのに内定を出すのがそもそもおかしい。

内定の有効期間を一か月とかにして、ちゃんと大学では勉強することに専念するシンプルな構造し、子供は親離れ、親は子離れすべきでしょう。

編集後記

おき編集長
おき編集長

過保護とかそういうのは抜きにして、助言を求められた際に正しいアドバイスができるように現在の就活状況を把握しておくというのは必要なのかもしれないですね。

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