中国で現在、「ヒトメタニューモウイルス」という耳慣れない感染症が広がりを見せています。
春節の大型連休が近づき、人々の移動により感染拡大が懸念されています。専門家は、今後日本でも感染が広がる可能性があると警戒を呼びかけています。
総移動者数が90億人に達する春節を控える中国で、国営放送が注目すべきニュースを報じました。
2019年に新型コロナウイルスの感染が初めて確認された中国で、現在急増しているのが「ヒトメタニューモウイルス」の感染者です。
ヒトメタニューモウイルスとは?
「ヒトメタニューモウイルス」に感染・発症すると、主な症状として発熱、せき、鼻水などが見られます。
このウイルスは2001年にオランダで発見されました。高齢者や乳幼児、基礎疾患を抱える人が感染すると、気管支炎や肺炎などに進行し、重症化する可能性があります。
中国では、呼吸器系疾患の陽性率がインフルエンザに次いで2番目に高い状態です。
感染は中国国内にとどまらず、インドやマレーシア、インドネシアなどアジア各国にも拡大しています。
間もなく春節の時期を迎え、中国では延べ90億人が移動する見込みで、多くの中国人が日本を訪れることも予想されています。
日本もヒトメタニューモウイルスの感染が拡大するのか?
関雅之医師
(春節で)ヒトメタニューモウイルスも日本に入ってくることは想定される。ただ大事なことは、こまめな手洗いやマスクの着用など、基本的な感染対策を心がけることが重要である。
ヒトメタニューモの検査を行っている東京都内のクリニックでは、最近になってある変化が。
ヒトメタニューモに感染した子どもが増加傾向にあるといいます。
岸本久美子理事長
ちらほらヒトメタニューモウイルスの感染の子も出てきていて、今ちょっとずつ増えてきている印象。特にゼーゼーとか、気道の症状が強い場合には検査をおすすめしている。
これまでも、日本国内で飛沫や接触での感染が確認されているヒトメタニューモウイルス。
新型コロナやインフルエンザとともに、感染予防に注意が必要です。
専門家の反応は?
「ヒトメタニューモウイルス」は中国由来の感染症ではなく、日本国内で以前から年がら年中流行している「風邪」の一種です。中国の春節と関係なく、日本で以前から流行しています。「風邪症候群」(日本呼吸器学会の正式名称)の200種類以上あるとされる原因ウイルスの一つにすぎず、こじらせれば稀に肺炎に至るのはどんな「風邪」でも同じことでしょう。
近年は技術の進歩で「風邪」の原因ウイルスが特定できるようになり、耳慣れない「ウイルス名」をメディアが報じるようになりました。昔からある「風邪」の一種だときちんと説明しないのは問題です。人間は知らないことに恐れを抱く特性があり、耳慣れない「ウイルス名」を聞けば何か特別な感染症のような印象をもつからです。
このように「不安」要素を詰め込んでアテンション(注目)を集め、アクセスや視聴率を稼ぐような報道は、改めるべきだと思います。
記事ではヒトメタニューモウイルスの検査を勧めているようですが、仮にこのウイルスに感染していることが分かったとしても、特別な治療法がありませんので、行われるのは一般的なかぜの治療と同様なものです。根本的には寝ていることしか治療の方法がありませんので、検査する意義は薄いです。
なおこのウイルスで検査を受けた場合、保険が適用されるのは6歳未満で肺炎が疑われる場合のみです。
前提として、肺炎のような症状があった場合、まず必要なのは肺炎が疑われる際に(どのような原因であれ)共通で行われる、X線や血液検査などの検査を受けることです。その意味でも、「このウイルスかどうかを判別する特別な検査」が年代を特定もせず必要かのように伝えるこの記事には問題があると感じます。
中国語では人偏肺病毒(HMPV)という名で報道されています。主に14歳以下の子どもが感染しており、潜伏期間は3~6日、高熱が出て、大人もかかっているとの情報です。春節は今月29日からですが、例年、富裕層などは大混雑する春節をわざと外して、来週くらいから日本など海外旅行に出かけて行くことが多く、そろそろ春節シーズンが始まります。団体旅行客、個人客は25日過ぎくらいからやってきます。航空機内やホテル、観光地では密集したり、騒いだりする機会が増えますので、お互いに最大限の注意と予防が求められると思います。
ネットの反応は?
コロナが始まった時、日本政府は武漢も含めて中国からの個人や団体旅行者を制限することなく入国を許していた。いずれウィルスは入ってくるだろうけれど、それでも今回はもっときちんと対策をして、日本をしっかり守ってくれるようお願いしたいです。
中学3年の息子が昨年5月に感染しました。
熱が出て、病院でコロナとインフルエンザの検査をしたら陰性で、同じ中学校の子が1人同じ症状だからとヒトメタニューモウイルスの検査をしたら陽性でした 熱は2日くらいで下がりましたが、とにかく咳が続いて、病院に行ったら喘息を発症していて、吸入薬を処方されました。喘息なんてなった事もなかったから驚きました。修学旅行前にも吸入薬を処方してもらい予防しました。
ヒトメタ自体は小児科領域では特に珍しい病気でも何でもなく、騒ぎ方には少々違和感を覚えはしますが、下気道がやられて気管や気管支の細い乳幼児は喘息様の症状に進展しやすく、時折重症化して入院沙汰になる厄介な感染症なのは確か。
大人も弱った方でなければ命こそとられるようなものではないものの、高熱に頑固な咳や呼吸困難感が続き、なかなか不快なんですよね。
ワクチンや抗ウイルス薬が早く開発されると良いなとは思います。
メタニューモウイルスは20年以上前に発見され、日本はもちろん、世界中に存在します。既に日本でも幼児を中心に一度はかかるような一般的な病気になっており、新型のウイルスではありません。必要以上におそれるものではないことは、少し検索すればすぐわかるはずです。
しかし一部メディアが、未知のウイルスなどと見出しをつけ報道していたりもします。そのようなあきらかな誤情報におどらされることなく、まずは冷静に行動しましょう。
ネットの反応は?
気を付けるに越したことはないですが、今まであったものを不安を煽るみたいに報道することに違和感ありますね。
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