気温が上昇し、汗をかく機会が増えるこの時期、自分自身の体臭が気になる人も少なくないだろう。職場で無意識のうちに他人に不快感を与える「スメルハラスメント」(スメハラ)となるリスクがあり、注意が求められる。
スメハラでチームワークが低下することも
スメハラがひどい人がいて頭がクラクラする。社長には「ガマンしてマスクしろ」と言われた
身だしなみは注意できるが、口臭や体臭は何も言えない
X(ツイッター)では、職場で体臭に関する悩みが多く投稿されています。
スメルハラスメント(スメハラ)の原因は、体臭や口臭だけでなく、香水や柔軟剤、ペットやタバコの臭いも含まれます。多くの加害者には悪意がなく、また法的な規制もパワーハラスメントやセクシャルハラスメントとは異なりまだ整備されていません。
社会保険労務士である蓑田真吾氏(39歳)によると、
スメハラはチームワークの乱れや仕事の意欲低下に加え、離職をも招きかねない。困っている人は声を上げるべきで、会社の対策も重要です
と言います。
蓑田氏は、企業がとるべき措置としてハラスメント対策のガイドライン策定、アンケートの実施、相談窓口の設置などを推奨しています。また、席替えや換気、空気清浄機の使用など、臭いの原因を予防する方法も提案しています。
臭いの感じ方には個人差があるため、社員への伝達時には配慮が必要です。誰も周囲にいないときに、相手を傷つけないよう配慮した言葉を選ぶことが重要です。
体臭の指摘がきっかけで内臓疾患が発覚した事例もあり、伝え方を工夫し、医療機関への受診を促すことも考慮するべきです。
63%が自分の臭いが気になる 68%が他人の臭いが気になる
大阪市に本社を置く化粧品メーカー「マンダム」は、新入社員を対象にした身だしなみセミナーで体臭予防の内容を新たに取り入れた。これは、企業からの依頼により、「体臭はデリケートな問題で、社員間での指摘が難しい」という声を受けてのことである。
体臭対策としては、朝と夜にシャワーを浴びる、寝起きに寝汗を拭き取り制汗剤を使用するなど、常に体を清潔に保つことが重要である。また、日中に汗をかいた場合は汗ふきシートでサッと拭き取り、スプレー式の制汗剤を利用することが効果的だとされている。
2023年9月にマンダムが実施したインターネット調査によると、20代から50代の男女800人のうち63%が「マスクなしでの直接対面が増えたことで自分の体臭が気になる」と回答している。さらに68%が「他人の臭いが気になる」と答えており、広報担当者は
自分や他人の臭いについての意識は今後、更に高まっていくだろう
と述べている。
スメハラを気づかせる伝え方をチャットGPTさんに聞いてみた
自分の周りでスメハラで困っている人がいます。スメハラを気づかせるにはどういった伝え方が相手も配慮した言い方になりますか?
スメルハラスメント(スメハラ)の問題を気づかせる際は、非常に繊細な対応が求められます。以下のステップに従って、相手を尊重し、配慮深い伝え方を心掛けることが大切です。
- プライベートな環境を選ぶ: 他の人がいない、静かな場所で話をすることが理想的です。公の場で指摘すると相手を恥ずかしめることにつながり、状況を悪化させる可能性があります。
- 信頼関係を築く: まずは相手との信頼関係を築くための会話から始めることが重要です。安心して話ができる雰囲気を作ることで、受け入れられやすくなります。
- 優しく、具体的に: 「最近、体臭が気になるような日があるけど、大丈夫?」などと優しく、しかし具体的に状況を伝えることで、相手が自身の状態を認識しやすくなります。
- 相手の立場に立つ: 「誰でもあることだし、私も気をつけているよ」といった共感を示すことで、相手が攻撃されていると感じるのを避け、むしろサポートを受けていると感じさせることができます。
- 解決策を提案する: 制汗剤の使用や特定の衣類用の消臭スプレーなど、実用的な解決策を一緒に考えることで、具体的な行動につながります。
- フォローアップを忘れずに: 一度の会話で改善が見られなくても、適切なタイミングで優しくフォローアップすることが重要です。進行具合を確認し、必要に応じてさらにサポートを提供します。
このような配慮深く、敬意を持ったアプローチにより、スメハラの問題に対して効果的かつ優しく対応することが可能です。
やはり何かを伝える第一歩は、コミュニケーションですね。。
専門家の反応は?
よく受ける相談の1つにスメルハラスメント(スメハラ)があります。体臭などによって周囲に不快感を与えることをいいますが、柔軟剤などが原因になることもあります。ほとんどのスメハラは、無自覚で悪意あるものではないことから、指摘や注意が難しいです。相談を受けるケースの1つに上司の加齢臭があります。加齢臭を指摘するだけでもデリケートな上、上司ともなれば立場的に言いにくいということはよく分かります。
他にも、タバコ臭がクレームとしてくるなどの話も聞きます。
スメハラは、職場内において人間関係や業務効率の悪化などの影響を及ぼすことがあります。
対応策としては、誰もが加害者になるリスクがあることを共有し、社内ルールを作成し、研修することでしょう。例えば、喫煙室から出たあとは必ず消臭スプレーをするなどです。デリケートな問題のため、指摘の仕方についても同性から伝えるなど細かいルールを定めることも大切です。
スメハラの対応は難しい。指摘の仕方を気をつけないと「スメハラハラ」になってしまう。相談の仕方も難しい。
被害の告発の前に、まずは自分が加害者になっていないかを考えたい。頻繁にシャワーに入っていても、見出しなみが清潔でも、「人は臭う」という前提を確認しておきたい。食生活はいつの間にか、体臭に影響する。洗濯に力を入れているがゆえに、臭うことだってある。香水をしない人でも、シャンプーやボディソープなどの臭いが残ることがある。
そもそも、パワハラやセクハラですら未だにその概念が理解されていない。スメハラはこれらに比べても新しい概念なので、啓発が必要だ。自分の臭いが人に迷惑をかけることがあることや、誰でも、意外に臭うという事実を職場で共有しなくてはならない。まずは、スメハラ研修を開催しよう。
ネットの反応は?
難しいですよね。
以前、向かいの席の男性社員の体臭がきつくてつらいと言っている女性社員がいて、妊娠中だったこともあって女性上司は同情的でしたが、その女性社員も実は口臭がきつくて、私はその人との打ち合わせがつらかった。
だから、他人の匂いは温かい気持ちで許容し、自分の匂いには気をつけたい、と思っています。が、匂いで仕事に集中できなかったり気分が悪くなったりすることがあるのも確かだから、難しい。
タバコや柔軟剤や食事の匂いだったら、やんわりとお願いすることもできるかもしれませんが、体臭のような匂いに関して、本人の努力では何ともならない事があるから難しいですよね。
例えば体臭の匂う人がいたとしても、本人なりに努力しているのかもしれないですし、それを「スメハラだから止めて」なんて言ったら、その指摘が「ハラスメント」になってしまうこともある。
少なくとも、会社の規定で決まっていないとなると、その人でなく自分の努力で対策するのが一番だと思います。
なんでもハラスメントと付けてしまう今の風潮はどうかと思う。
ハラスメントって、基本的に故意にいじめや迷惑行為を行うことだと認識しています。
故意にキツイ香水を身にまとっているのならいざ知らず、加齢臭といった本人がどうしようもないことに対してハラスメントだとむやみに騒ぎ立てるのは、その人の尊厳や存在を貶めているように思えて、逆にハラスメントしているように感じられます。
ハラスメントというキャッチーな言葉を使って、エチケットやマナーの類までも扱うのはいかがなものでしょうか。
編集後記
自分の臭いも気になるから他人の臭いも気になりますよね。自分がある程度気を使って対策しているならば他人にも厳しくなりがち。
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