能登半島の地震による被害地域でインターネット接続可能な場所を市民の報告に基づいて集めたオンラインマップが作成されました。このマップは、地震によって不安定になった通信環境を経験した石川県の住民たちによって作られました。彼らは、インターネットの接続状況を視覚化することで、通信環境の向上を図りたいと考え、さらなる情報提供の協力を求めています。
登録地点、地図に即反映
「能登半島地震コネクトマップ」と名付けられたこのウェブアプリは、インターネットに接続可能な場所を誰でも簡単に登録できるように設計されています。利用者は自分の携帯キャリアやWiFiを選んで「接続可能な地点」をマップに追加することができます。
登録された情報はリアルタイムで地図上に表示され、14日現在では石川県内に140以上の地点が日付と共に登録されています。
情報は「登録日時でつながったことを示しているが、その後継続してつながっていることを保証するものではない」としています。
1時間半で試作品作製、翌日公開
このウェブアプリ「能登半島地震コネクトマップ」は、テクノロジーを駆使して社会問題に取り組む石川県の団体「一般社団法人コード・フォー・カナザワ(Code for Kanazawa)」によって開発されました。団体の代表理事である福島健一郎氏をはじめとするボランティアメンバーは、地震により
ネットがつながらないので情報が得ることができず、精神的につらい
との声を、特に被害の大きかった輪島市などの知人から聞きました。
携帯電話会社は通信復旧地域のマップを公開していましたが、被災者からは
ネットにつながらないと思った地域でも、高台に上がるとつながることがある
との情報も寄せられました。これらの情報を位置情報と組み合わせ、オンライン上の地図に集約することで、市民自身が「つながる場所」を特定できると考えた福島氏は、アプリのプロトタイプをわずか1時間半で作成し、翌日には他のメンバーと協力して詳細を詰め、その日のうちに公開しました。
メンバーたちは、被災地にいる知人らに「つながる地点」の登録を呼びかけ、SNSを通じて地図の存在を広めています。彼らは仕事の合間を縫ってボランティア活動に取り組んでいます。
情報はオープンデータに
登録されたデータは一覧化され、オープンデータとして一般に公開されています。この取り組みは、誰もがアクセス可能なデータを提供することで、新しいサービス開発や被災時の通信状況の分析などに役立てることを目的としています。
約1千棟の住宅に被害を受けた内灘町の住民である福島さんは、
福島健一郎さん
少しだけご協力いただくことで、ネットが使える場所とそうでない場所が切り分けられていき、今後の通信環境の改善にいかすことができます
と述べています。
彼は、より多くの人にこの地図を知ってもらうことが重要だと考えており、
福島健一郎さん
被災地でネットにつながっている方に知ってもらい、つながる報告をしてもらうご協力と拡散をお願いできたら幸いです
と呼びかけています。
ネットの反応は?
電波状況の改善とは別に、こういう情報共有プラットフォームというのも大切だと思います。
今回は1/1の夕方という、日頃「なにかあったら避難所を開ける役」だった公務員の方もかなりの人が酒を飲んだりしている時間帯ということもあって、あかない避難所なども相当あり、冬の寒い時期ということもあって自家用車で避難して大渋滞を起こし、結局車内にいるといったこともありました。
市や県が情報を把握してきちんと公式情報として送信できれば一番いいのですが、避難所にいったひとがたとえばそこにあるQRCodeを読むと「あいている」発信になるといったような、「誰でも発信」が公式発信につながるような仕組みは必要だなと感じています。
ネットに繋がらなくて困っているのに、情報をネット上に公開する意味はない。という意見がありますが、効果はあると思います。
一時的に繋がったタイミングで見ることができますし、避難所の知人同士で情報が共有されることもあるでしょう。
本来このような情報公開は通信事業者が行うべきですが、通信事業者ならではの課題があります。
①情報の完全性 事業者提供の場合は情報に不備があってはいけません。不確実な情報を元に被災者が移動して二次被害に会うようなことがあれば大問題です。
②現地調査の稼働 アンテナが傾いているような状況では、電波を吹いていてもどこまで届いているのかは現地にいかないとわかりません。道路が寸断されている中で事業者の社員だけで全域を回るのは不可能です。
それよりもアンテナの復旧に稼働を割くほうが有効です。
記事のアプリは個人だからできたとても良い取り組みだと思います。
こうした取り組みは良い支援の形だと思います。
今やネットに繋がらなければ多くの情報は手に入れられませんよね。情報は極限状態の被災地では最も必要なもののひとつだと思います。
また逆に、避難所情報や被災状況、防犯情報、水や食料、トイレや寝具、医療物資などを提供する側も、それらがどこで手に入れられるか、いつ届くのか、誰に問い合わせれば良いのかを周知できます。すべてを瞬時に知らせられる点でもネットは便利ですし、救援のためのリソースを最大限に活用できると思います。
また、こうしたデータがあれば効率的に緊急基地局を増やしたり、優先する場所が明確になり、緊急時の医療や薬品の手配も可能になります。
数年前、台湾でもコロナで緊急的にアプリを作り、ブラッシュアップして世界中がマネしたり活用していた事を思い出しました。ITの最も正しい活用法だと思います。
編集後記
素晴らしい取り組み!利用者が増えれば情報も網羅性も増すので、このアプリが少しでも多くの方の目に触れて利用者が増えてくれることを願います。
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