フジテレビを巡る問題に関連し、第三者委員会の報告書では、幹部社員と中居正広氏との間で交わされたメッセージのやり取りが明らかにされました。このやり取りは「デジタルフォレンジック」と呼ばれる手法によってデータが復元されたものです。では、この「デジタルフォレンジック」とは、どのような調査方法なのでしょうか。
削除されたデータも解析可能 デジタルフォレンジック

東京・港区に拠点を置く、AI(人工知能)を活用したデータ解析を行う企業を訪ねました。企業の不正調査や警察の捜査に協力することもあるため、作業室には静脈認証による厳重なセキュリティーが施されています。解析に関する情報や使用するソフトなどが外部に漏れないよう、さまざまな配慮がされています。
FRONTEO リーガルテック事業本部 池上成朝本部長
「『デジタルフォレンジック』の手法を使って収集をして分析をして、例えばスマートフォンの中に(データの一部が)残っていれば、ある段階まで復元することができる」
「デジタルフォレンジック」とは、デジタルデータを対象にした「分析や鑑識」を行う技術のことです。フジテレビの第三者委員会では、この技術を用いて生々しいメッセージの内容が明らかにされていました。
調査報告書 中居氏(原文ママ)
「男同士じゃつまらんね。女性いるかなね。一般はさすがにね。となりフシアナ誰か来れるかなぁ」
調査報告書 フジテレビ社員
「アナウンサー、調整してみます」
この技術は、本来パソコンやスマートフォンに保存されている暗号化されたデジタルデータを、文章や画像などの形にして可視化・証拠化することを目的としています。近年の技術進歩により、“削除されたデータ”であっても特殊な手法によって復元することが可能になっています。
フジテレビの第三者委員会は、PCやスマートフォンに残されていたOutlook、Teams、LINE、ショートメール、OneDriveのデータを保全し、約2カ月かけて22万件以上のデジタルデータを分析したと報告しています。
デジタルフォレンジックによって、どのようなことが明らかになるのか?
FRONTEO 池上成朝本部長
「(Q.色々バーが出ていますが…)これは通話の情報。いつの発信・着信か、日時も分かる。黒くしているが、固有のデバイス番号(も分かる)」
データの復元方法や使用するソフトウェアは企業の機密とされていますが、発着信の日時や相手の番号、通話履歴が削除されたかどうか、さらにその削除のタイミングまで把握することが可能であり、調査においては非常に重要な手がかりとなります。
池上成朝本部長
「(Q.やましいものがあって、警察に取り調べがあると分かった当日、削除したら分かる?)分かります。削除されたものから先に調査をしていく」
LINEやSNS、メールに関しては、発着信の日時だけでなく、メッセージの内容や絵文字なども画像解析により確認することができます。セキュリティ性が高いとされる「シグナル」や、メッセージが自動的に消去される「テレグラム」に関しても、将来的には復元の可能性があるといいます。
ただし、復元されたデータが膨大な量になるという課題がありますが、そこに活用されるのが最新のAIを用いた独自の技術です。
池上成朝本部長
「検索でヒットした文字がピンクに。ヒットした文字を基にAIが不正の確率を判断」
不正に関わる人物や場所といった“特定のワード”を検索することで、AIが関連する文章や画像を解析し、それらが証拠としての価値を持つ可能性を評価します。その結果、限られた調査時間の中でも、優先して調べるべきデータを効率的に選び出すことができるのです。
池上成朝本部長
「悪いことを見つけられる技術があることで社会貢献になると考えています」
専門家の反応は?

デジタルフォレンジックは、かねてから民間不正調査でも活用されており、捜査機関に限った技術ではありませんでした。 その効果は、今回の調査でも分かるように絶大で、事実認定に大きく貢献するほか、供述を引き出す材料ともなります。
また、捜査機関でもないのに私物のスマートフォンなどの私用端末をどうやって解析するのかとの疑問も散見されますが、会社貸与品とは違い、私用端末は任意提出が基本となります。
多くの企業では、未だにデジタルフォレンジックの知識が浸透しておらず、不正発覚後の初動で誤った手順を踏み、デジタルフォレンジックが後手になっているケースが散見されるほか、その限界を知らずに過度に期待しているケースもあります。 これを契機に、デジタルフォレンジックの有効性が広く認識され、不正発覚後の初動からデジタルフォレンジックを念頭に置いた行動が取れるよう、企業の間で理解が進むことを期待します。

「復元方法や使用ソフトは企業秘密」とのことですが、今後デジタルフォレンジックが普及すれば、デジタル証拠の捏造や改ざんが横行する可能性がありますので、第三者に対してできるだけ手法や手順の透明性を高めることが重要かと思います。特に裁判などでは、そういった手続き的なものがクリアになっていない限り証拠として採用しないという立場が重要ではないでしょうか。一般人である我々も、プライバシー保護という観点からはセキュアなメッセージングアプリやウェブブラウザを使ったり、電子署名などで自衛する必要が高まると考えます。
ネットの反応は?

デジタルフォレンジックの技術、本当に素晴らしいですね。削除されたデータまでも解析・復元できて、しかもAIが不正の可能性まで判断してくれるなんて、まさに現代の“電子の監視塔”です。ここまで可視化できるなら、もう「記憶にございません」も通用しない時代。関係者の心のスクリーンショットまで撮れるんじゃないかってレベルで頼もしいです。社会の透明化に向けて、最高の技術だと思います。

非常に優秀な技術ですね。
この技術により中居正広氏からの要望、フジテレビ社員の関与が全て白日の元に晒される事になりました。メールを消去していた事からもご自身でヤバいと思ったからの行動、証拠を消し去ろうという心理の確固たる証拠にもなっています。
それにしても、中居正広氏のメール内容は看過できませんね。
第三者委員会の方々、よくぞここまで動いてくださったなと思いました。
編集後記

テレグラムも復元可能になる可能性があるとの事、犯罪抑止にもつながりそうですね。
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