香川県善通寺市は、固定資産税の課税基準となる土地の用途を衛星画像とAI(人工知能)を活用して判別するシステムを開発しました。このシステムは税務課の職員が対話型生成AI「ChatGPT」を活用して自作したもので、外部に開発を依頼する場合と比べて、費用を約30分の1に抑えることができたといいます。市は今後も「AIを活用して業務の効率化を図りたい」としています。
どんなシステムか?
固定資産税は、住宅地、商業地、農地などすべての土地や建物に課され、市町村が徴収する税金です。その計算の基準となる土地の評価額は、地価や利用状況に基づいて決定されます。
善通寺市では、建築確認申請や登記申請をもとに土地の利用状況を確認していますが、届け出がない場合もあります。これまで市は毎年100万円以上を費やし、外部業者に市内全域の調査を依頼していました。その際、前年から利用状況が変わった土地や建物を目視で確認していたのです。
今秋から試験運用が始まった新システムでは、人工衛星が撮影した1年前と当年の画像をAIに学習させて比較し、利用状況の変化を特定します。例えば、農地が駐車場に変更された場合など、変化が確認された土地については、市職員が現地を調査し、評価額に反映させます。
このシステムは来年度の固定資産税評価から本格的に導入される予定で、使いやすさを改善しつつ、将来的には他の自治体でも活用できるよう展開を目指しています。
どうやってシステムを作ったのか?
このシステムは、税務課の職員が対話型AI「ChatGPT」を活用し、約1か月をかけてプログラムのソースコード(設計図)を作成して完成させたものです。通常、業者に依頼した場合は開発費が3000万円以上かかるところ、今回は約120万円で実現しました。
税務課の榊朋之課長補佐は、
DX(デジタルトランスフォーメーション)化を進めたいが、中小の自治体では導入費が高額でシステムを入れられない。AIを活用した新しい形でのDXを実施していきたい
と語っています。
専門家の反応は?
システムを外注するには必要なものを洗い出すところから始めるので、どうしても高額になりがちです。現場の担当者が自分で作りたいものを作れるなら、そのほうが圧倒的に早くて安上がりなのはたしかです。
スクリプト言語やノーコード、クラウドの無料枠など、使えるツールは非常に充実しているので、基本的な知識を身に付ければ、分からないところをChatGPTに質問しながら開発を進めることは可能でしょう。
ただ、長く使うシステムは運用や保守にも労力がかかります。担当者の異動や退職で引き継ぎができず、どうしようもなくなった状態でシステム開発会社に持ち込まれる場合がありますが、安く引き受けてもらえるとは限りません。
税務分野での生成AIの活用はほとんど進んでいません。自治体が自ら開発して、その運用成果を示すことで他の自治体に広まれば、実現可能性は低いですが国税局でも職員による柔軟な開発が行われるかもしれません。
ChatGPTやClaude、Geminiによってプログラミング初級者でもある程度の開発ができるようになりました。
また、これまでのように大手に高額で発注しなくとも、プログラミングができる優秀な大学生に依頼することもできます。
技術の進歩によって、行政サービスが向上することを期待しています。
先日は国税局がAIに所得税の申告漏れの事例を学習させ、似たような申告を重点的に調べた結果、昨年と比べて30億円多い過去最高の1,398億円の追徴税額になったと報じられていました。 こちらは去年から実施しているとのことなので、今後も申告漏れの見逃しがなくなっていくものと思われます。
生成AIは膨大なデータから違いを探すことが得意です。 探すことはAIにやらせる、実際の確認は人間が行うというように役割分担をすることで、効率的に課税ができるものと思われます。
ただ、今回は自作ということですので、保守やアップグレードなどが心配です。 将来的にはデジタル庁や国税庁が汎用的に使えるものを配るようになるかもしれません。
ネットの反応は?
良い話なんだろうけど
外注しなくても社内で出来てしまったと言って、外注したら30倍かかった物を作った社員を通常の給与で「ありがとう」「すごいね」で済ませてしまうのは能力の搾取です。 安く済む事は良い事ではあるけど、今回1回だけだったとしても大きな成果に対しては正当な対価を支払うのを常識にしていかないとダメよ。
公的な職員だとボーナスとかは無理でも功労賞金一封とかあげないと。
これ難しいところなんだよね。
高いお金を出して外部委託するのは品質を担保して長期間の安定した運用をする必要があるから。
皆さんのコメントを読んでいても運用や品質を気にすることが多く書かれていて普段の業務で苦労されている方が多いんだなと感じる。
ただそこを気にし過ぎて日本のシステム開発は革新的なサービスが生まれない原因にもなっていると思う。
そのあたりのバランスが上手くいくように推進してユニコーン企業や革新的なサービスが日本にもたくさん生まれるような環境を整えてくれることをデジタル庁に期待したいな。
身内が公務員ですが、大抵「予算あるし今までのままでいいから」と言われて終わり(経費を減らすと言う考え方がない)ですから、上司にも理解があったんでしょうね。 継続性と確実性があるのか?と言う問題はありますが、方向性としては良いと思います。
ただ、逆に税金が減る場合も、自動的に手続きしてくれるんでしょうかね?
編集後記
このシステム開発した方にボーナスは出たんでしょうか?
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