簿記3級では、1会計期間の終わりに帳簿を整理し、次期に繋げるための「帳簿の締め切り」が重要です。
締め切り作業では、損益計算書の数字をまとめて資本金に振り替えたり、貸借対照表の残高を次期へ繰り越したりします。
この記事では、帳簿締切の4ステップとポイントをわかりやすく解説。最後に本試験レベルの記述式練習問題で理解度をチェックしましょう。
帳簿の締め切りとは?
▶ 帳簿締切の4ステップ
① 損益計算書の科目を損益勘定へ
- 売上や費用などの損益計算書科目の残高を損益勘定に振り替えます。
- これにより、当期純利益(または損失)が確定します。
② 損益から資本金へ振り替え
- 損益勘定の残高(当期純利益)を資本金勘定に振り替えます。
- 株主に帰属する純資産として、資本金に組み込まれます。
③ 貸借対照表の科目を次期繰越へ
- 資産・負債・資本金の各勘定科目の残高を次期繰越として記録。
- これが次期の期首残高になります。
④ 繰越試算表を作成
- 次期へ繰り越す金額を一覧にまとめた「繰越試算表」を作成します。
帳簿締切の流れ
損益科目 → 損益勘定 → 資本金勘定 → 次期繰越
注意ポイント
- 損益勘定を締め切る際は必ず借方・貸方が一致することを確認。
- 資産・負債は残高をそのまま繰越すが、収益・費用はリセットされます。
よくある質問(FAQ)
- Q収益・費用はなぜ資本金に振り替えるの?
- A
収益・費用は1会計期間ごとにリセットし、純利益として資本金に加えるためです。
- Q次期繰越とは何ですか?
- A
資産・負債・資本金の残高を翌期の期首残高として引き継ぐ処理です。
- Q試験では帳簿締切はどのように出題される?
- A
精算表や試算表をもとに、締切仕訳や次期繰越残高の計算を問われる形式が多いです。
記述式練習問題
【問題】
次の資料はA社の決算整理後残高試算表(抜粋)です。これらをもとに帳簿締切に関する仕訳を行い、さらに次期繰越残高を求めなさい。
決算整理後残高試算表(抜粋)
勘定科目 | 借方残高 | 貸方残高 |
---|---|---|
売上 | 2,000,000 | |
仕入 | 1,200,000 | |
給料 | 400,000 | |
減価償却費 | 100,000 | |
現金 | 500,000 | |
売掛金 | 300,000 | |
商品 | 400,000 | |
建物 | 1,000,000 | |
買掛金 | 200,000 | |
支払手形 | 100,000 | |
資本金 | 1,500,000 |
【設問】
- 収益・費用科目を損益勘定へ振り替える仕訳を書きなさい。
- 損益勘定の残高を資本金勘定に振り替える仕訳を書きなさい。
- 資産・負債科目を次期繰越にする仕訳を書きなさい。
- 次期繰越残高を一覧にまとめなさい。
解答・解説】
【解答1】損益勘定への振替
売上 2,000,000 / 損益 2,000,000
損益 1,700,000 / 仕入 1,200,000
損益 400,000 / 給料 400,000
損益 100,000 / 減価償却費 100,000
【解答2】損益勘定から資本金へ振替
損益 300,000 / 資本金 300,000
(当期純利益300,000円を資本金に組み入れ)
【解答3】資産・負債の次期繰越仕訳
現金 500,000 / 次期繰越 500,000
売掛金 300,000 / 次期繰越 300,000
商品 400,000 / 次期繰越 400,000
建物 1,000,000 / 次期繰越 1,000,000
次期繰越 200,000 / 買掛金 200,000
次期繰越 100,000 / 支払手形 100,000
次期繰越 1,800,000 / 資本金 1,800,000
【解答4】次期繰越残高表(抜粋)
勘定科目 | 金額 |
---|---|
【資産】 | |
現金 | 500,000 |
売掛金 | 300,000 |
商品 | 400,000 |
建物 | 1,000,000 |
【負債】 | |
買掛金 | 200,000 |
支払手形 | 100,000 |
【純資産】 | |
資本金 | 1,800,000 |
合計 | 2,200,000 |
🧠 解説ポイント
- 収益・費用は期末にリセットし、損益勘定を通じて資本金に加算。
- 資産・負債・資本金は次期へ繰越し、翌期の期首残高になる。
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