手形記入帳と商品有高帳の仕組みをやさしく解説

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簿記3級ゆるっと勉強帳

簿記3級では、「帳簿を使って記録する力」も問われます。
今回は、実務でもよく使われる「手形記入帳」「商品有高帳」、
そしてそれらを含む「帳簿の種類」についてわかりやすく解説します。


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1. 手形記入帳とは?

手形の取引に特化した帳簿です。

帳簿名使い方
支払手形記入帳手形を振り出して支払うときに記録
受取手形記入帳手形を受け取ったときに記録

帳簿記入例(支払手形記入帳)

日付相手先内容金額
7/1A社商品代金の支払50,000円

商品有高帳の記帳方法(2つの方式)

商品有高帳は、商品の出入りや在庫を数量・単価・金額で記録する帳簿です。
方式には 先入先出法移動平均法 があります。


1. 先入先出法(FIFO:First In First Out)

「先に仕入れた商品から先に売れる」と仮定して在庫を管理する方法。


例題:

日付摘要受入払出残高
数量 / 単価 / 金額数量 / 単価 / 金額数量 / 単価 / 金額
  1. 7月1日 10個を単価100円で仕入れ
  2. 7月3日 8個を単価110円で仕入れ
  3. 7月5日 12個を販売(出庫)

記帳:

日付摘要受入払出残高
7/1仕入10個 / 100円 / 1,000円10個 / 100円 / 1,000円
7/3仕入8個 / 110円 / 880円10個 / 100円 / 1,000円
8個 / 110円 / 880円
7/5売上10個 / 100円 / 1,000円
2個 / 110円 / 220円
6個 / 110円 / 660円

残った在庫は、最後に仕入れた 110円の6個 だけになります。


2. 移動平均法(Moving Average)

仕入れるたびに「在庫の平均単価」を更新する方法。
払出時は常に最新の平均単価で出庫する。


例題:(上と同じ)

  1. 7月1日 10個を単価100円で仕入れ
  2. 7月3日 8個を単価110円で仕入れ
  3. 7月5日 12個を販売(出庫)

記帳:

日付摘要受入払出残高
数量 / 単価 / 金額数量 / 単価 / 金額数量 / 単価 / 金額
7/1仕入10個 / 100円 / 1,000円10個 / 100円 / 1,000円
7/3仕入8個 / 110円 / 880円18個 / 104.4円 / 1,880円
7/5売上12個 / 104.4円 / 1,252.8円6個 / 104.4円 / 627.2円

単価は小数第2位まで表示。計算式:
(1,000円+880円)÷(10個+8個)=104.44…円(1,000円 + 880円) ÷ (10個 + 8個) = 104.44…円(1,000円+880円)÷(10個+8個)=104.44…円

まとめ比較表

項目先入先出法移動平均法
払出順古い仕入れから順に出す平均単価で出す
単価の変動実際の仕入価格を使用平均単価をその都度再計算
在庫の評価古い単価のものが残る直近の平均単価で残る

📘 帳簿の種類一覧(主要簿・補助簿)

分類帳簿名種類記録する内容補足・ポイント
✅ 主要簿仕訳帳記入帳日々の取引を、発生順にすべて仕訳で記録「帳簿の出発点」。取引の証拠となる重要帳簿
✅ 主要簿総勘定元帳元帳仕訳帳から転記し、勘定科目ごとに記録勘定ごとの増減を一覧にできる

📘 補助簿:補助記入帳(主要簿を補助するための帳簿)

帳簿名主な内容使う場面
現金出納帳現金の入出金を記録する店舗で現金を使うときなど
当座預金出納帳当座預金の増減を記録する小切手や手形の受払が多い会社向け
小口現金出納帳小口現金の入出金を記録交通費・備品購入など、少額の経費支払い
仕入帳商品の仕入れを記録商品を継続的に仕入れるとき
売上帳商品の販売を記録商品を継続的に販売しているとき
支払手形記入帳支払手形の発行・決済の記録手形で支払った場合に使用
受取手形記入帳受け取った手形の記録手形で売上を受け取った場合に使用

📘 補助簿:補助元帳(勘定科目をさらに細かく管理)

帳簿名主な内容使う場面
商品有高帳商品の数量・単価・在庫金額を記録商品の出入庫管理に使う。先入先出法や移動平均法で処理
買掛金元帳仕入先ごとの未払金を記録取引先別に管理したいときに有効
売掛金元帳得意先ごとの未収金を記録顧客別の売掛金管理に活用

🔍 覚え方のポイント

  • 主要簿:すべての取引をまとめる中心帳簿(=仕訳帳+総勘定元帳)
  • 補助簿:補助記入帳(取引の詳細)と補助元帳(得意先や商品の個別管理)に分かれる

よくある質問(FAQ)

Q
手形記入帳と総勘定元帳の違いは何ですか?
A

手形記入帳は取引の明細を、総勘定元帳は勘定ごとにまとめる帳簿です。

Q
先入先出法と移動平均法はどちらを使えばいいですか?
A

実務では先入先出法が多いですが、試験ではどちらも出題されるので覚えましょう。

Q
補助簿と主要簿の違いって?
A

補助簿は特定の項目を詳しく記録する帳簿、主要簿はすべての取引をまとめる帳簿です。

練習問題(3問)

【Q1】手形を振り出して支払ったとき、記入する帳簿は?

A. 受取手形記入帳
B. 支払手形記入帳
C. 現金出納帳
D. 商品有高帳

正解:

B
→ 支払時には「支払手形記入帳」に記録します。


【Q2】先入先出法の特徴は?

A. 売上高が先に出る
B. 後から仕入れた在庫を先に出す
C. 最初に仕入れたものから順に出す
D. 移動平均単価で払出する

正解:

C
→ 「先に入れたものを先に出す」ので「先入先出法」です。


【Q3】補助簿に分類される帳簿はどれ?

A. 総勘定元帳
B. 仕訳帳
C. 小口現金出納帳
D. 試算表

正解:

C
→ 小口現金出納帳は補助記入帳に分類されます。

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