簿記3級では、決算整理仕訳をもとに「精算表」を作成する問題がよく出題されます。
精算表は、損益計算書や貸借対照表を作成する前に、修正記入と集計を行うための大切なステップです。
今回は、精算表の役割と作成手順を3ステップでわかりやすく解説します。
精算表とは?
▶ 精算表ってなに?
精算表とは、決算整理仕訳の内容を反映させながら、損益計算書や貸借対照表の作成に備える集計表です。
この表を作成することで、次の流れが整理されます。
▶ 精算表作成の流れ
1️⃣ 仕訳を書く
決算整理の取引を仕訳帳に記入します。
2️⃣ 仕訳を精算表の「修正記入」欄に転記
各勘定科目の修正金額を書き込みます。
3️⃣ 「損益計算書」欄と「貸借対照表」欄を完成させる
計算式:
計算表の残高 ± 修正記入 = 損益計算書・貸借対照表の金額
▶ 精算表の役割
- 決算整理後の数字を一覧化できる
- 損益計算書・貸借対照表作成の基礎資料になる
- 修正仕訳が適切かどうかを確認できる
よくある質問(FAQ)
- Q精算表を作る目的は何ですか?
- A
決算整理後の金額を一目で確認し、損益計算書や貸借対照表の作成に備えるためです。
- Q修正記入は必ず必要ですか?
- A
はい。修正記入がなければ、決算整理後の正しい金額が反映されません。
- Q精算表で借方と貸方の合計が合わないときは?
- A
決算整理仕訳や転記のどこかにミスがある可能性が高いです。
練習問題(記述式・本試験レベル)
【問題】
以下はA社の決算整理前残高試算表の抜粋と決算整理事項です。これらをもとに精算表の「修正記入欄」「損益計算書欄」「貸借対照表欄」を完成させなさい。
決算整理前残高試算表(抜粋)
勘定科目 | 借方残高 | 貸方残高 |
---|---|---|
現金 | 500,000 | |
売掛金 | 300,000 | |
商品 | 800,000 | |
建物 | 1,200,000 | |
支払家賃 | 120,000 | |
支払手形 | 400,000 | |
資本金 | 2,000,000 | |
売上 | 1,500,000 | |
仕入 | 900,000 | |
給料 | 400,000 |
決算整理事項
- 建物について、減価償却費として60,000円を計上する。
- 未払給料50,000円を計上する。
- 棚卸減耗として商品100,000円を売上原価に振替。
【設問】
- 上記の決算整理仕訳を行い、精算表の「修正記入欄」に記入しなさい。
- 修正後の数字をもとに、「損益計算書欄」「貸借対照表欄」を完成させなさい。
解答・解説
【解答1】修正仕訳
- 減価償却費 60,000 / 建物減価償却累計額 60,000
- 給料 50,000 / 未払給料 50,000
- 売上原価 100,000 / 商品 100,000
【解答2】精算表(抜粋)
勘定科目 | 計算表残高 | 修正記入 | 損益計算書 | 貸借対照表 |
---|---|---|---|---|
現金 | 500,000 | 500,000 | ||
売掛金 | 300,000 | 300,000 | ||
商品 | 800,000 | △100,000 | 700,000 | |
建物 | 1,200,000 | 1,200,000 | ||
減価償却費 | +60,000 | 60,000 | ||
給料 | 400,000 | +50,000 | 450,000 | |
未払給料 | +50,000 | 50,000 | ||
売上原価 | +100,000 | 100,000 |
🧠 解説
- 修正記入では増減の影響を±で記入します。
- 損益計算書欄には費用・収益項目を記載。
- 貸借対照表欄には資産・負債・純資産項目を記載します。
- 「計算表残高 ± 修正記入」で損益計算書・貸借対照表の金額が決まります。
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