今年も災害級の猛暑が予想されており、日中の外出が減少することで心身の活力が低下し、「フレイル」になるリスクが高まると指摘されています。
猛暑で高まる“フレイル”のリスク
この夏、懸念されている「フレイル」と、猛暑による「フレイルの悪循環」についてです。
フレイルとは、健康な状態と心身が衰えて要介護状態になる中間の状態を指します。
フレイルとは?詳しく・・・
要介護状態の前段階
高齢になっても、誰もが急に要介護状態になるわけではありません。
少しずつ身体や頭が衰え、徐々に生活に影響が出てきます。
フレイルとは、要介護状態になる前の段階を指します。
このフレイルの時期にどう対応するかで、その後の人生が大きく変わります。
現状を維持、または改善できるのか、それとも要介護状態になってしまうのか…
フレイルは、生活に何らかの影響が出始めているものの、生活機能の維持向上が可能な段階です。
フレイルになった人のうち、約3分の1が健康を回復したという研究もあります。
本人の努力と適切な支援により、健康な状態に戻ることができるチャンスの時期なのです。
フレイルの判断基準
フレイルには5つの判断基準があります。
- 体重減少
- 6ヶ月で2kg以上の(意図しない)体重減少
- 筋力低下
- 握力:男性<28kg、女性<18kg
- 疲労感
- (ここ2週間)理由もなく疲れたような感じがする
- 歩行速度
- 通常歩行速度<1.0m/秒
- 身体活動
- 軽い運動・体操をしていますか?
- 定期的な運動・スポーツをしていますか?
- 上記の2つのいずれも「週1回もしていない」と回答
これら5項目のうち、3項目以上に当てはまると『フレイル』、1〜2項目は『プレフレイル』、該当なしは『ロバスト(健常)』と分類されます。
また、社会的孤立・孤独・困窮から生じる『社会的フレイル』や、認知機能低下や不安・抑うつなどを示す『精神・心理的フレイル』も存在します。
フレイルの特徴的な歩き方について教えてもらいました
戸原遼院長
手の振りが少ない。足が上がらず、すり足になっている。体の左右のふらつきが大きい
また、歩幅が狭く、歩行速度が遅いといった特徴があります。
専門家によると、急な体重減少や筋力低下、疲労感、歩行速度の低下、運動習慣の減少などの5項目のうち3つ以上が該当する場合、フレイルの可能性があるといいます。
東京都健康長寿医療センターによれば、日本の高齢者の8.7%がフレイル状態であり、フレイルの前段階であるプレフレイルを含めると約半数に達します。
さらに、フレイルは高齢者だけの問題ではありません。実際に歩く様子を撮影し、チェックしてみると…。
戸原遼院長
着地した時に比較的(ひざが)大きく曲がってしまっていますので、ももの筋肉でひざの関節を支えられていないような状態での歩き。全体的に筋力が弱くなっているような状態。このまま40年、50年してくると、さらに筋力低下が進行してしまって、最終的には『フレイル』というような状態になってしまう。今、若い人でもそういう状態になってしまうリスクがある人が非常に多い
若い人でも懸念されるフレイル。その鍵となるのが、この“暑さ”だと指摘されています。
戸原遼院長
例えば、今年すごく暑いですけれども、やはり外に出る習慣がなくなってしまって活動量が減ってしまうと食欲もなくなって、食べる量が落ちてしまうとやはりまた筋力の低下に陥ってしまって、活力が減ってという悪循環に陥ってしまうことで『フレイル』のリスクが夏場に高まるというデータが出ているので
まさに、“フレイルの悪循環”に陥る可能性があるというのです。
そんな中、画期的な試みが始まっています。電気の使用状況からAI(人工知能)がフレイルを検知するというのです。
事業創造本部
山本卓明課長
健康な人は使い方に変動がしっかり見られるんですが、フレイルで弱っている方はあまり変動がないと
活動的な人は、外出時に電気を切り、掃除や洗濯の際には電気を使うため、電力使用量の変動が大きいといいます。
中部電力では、30分ごとの電力使用パターンを100以上の観点からAIが分析してフレイルを検知し、その情報をその人が住む自治体に通知するサービスを昨年4月から開始しました。通知を受けた自治体は、フレイルが疑われる人に対して声掛けなどの対応を行うといいます。
事業創造本部
傳田純也副長
(昨年度は)3自治体で導入いただいた。今年度はそれにプラスアルファ10自治体で、13自治体で導入予定
フレイルを予防するために重要なのが運動習慣です。専門家に効果的なトレーニング方法を伺いました。
山下理沙看護師
まず股関節の運動からします。少し浅めに、おうちにある椅子に座ってもらって、このまま、ここでかけっこするイメージ。自分に無理のないスピードで、1分間ぐらい。今度はひざの筋肉のトレーニングです。座った状態のまま、足をまっすぐ伸ばします。手を胸の上でバッテンしたりすると、おなかにも力が入ります。テレビ見ながらできます
人生100年時代。元気に歩き続けるためには、フレイル予防が欠かせません。
専門家の反応は?
猛暑の時代になって、夏の間の運動習慣の維持が非常に難しくなっている。運動は生活習慣病の予防・維持だけでなく、メンタルヘルスや睡眠のためにも欠かせず、わたし自身もフレイルを実感して焦りを感じている。ジョギングなど野外の運動は夜でも厳しく、自宅での運動もモチベーションの意味で限界がある。やはり冷房の効いた運動施設の活用しか、思いつかない。昨今流行りの、低料金・運動が少しだけできる・娯楽つきという小規模施設の利用が現実的なのだろう。高齢者は、自宅でできるエクササイズになるのだろうが、年齢を問わずひとりでは運動はなかなか続かないので、他者を噛ませる工夫が必要だろう。
「フレイル」=Frailty で、直訳すると「虚弱」です。しかし、その訳語と実相は異なり、医療・公衆衛生・介護の専門家は「(高齢者層を中心とした)要介護・要支援に陥るおそれのある状態」「回復可能(可逆的)な状態」と説明しています。
このフレイルは、身体的な問題(筋肉量の減少や身体機能の低下)と精神的な問題(気分の落ち込みや認知機能の低下)、社会的な問題(対人関係の弱化や経済的困窮)が組み合わさって生じるとされています。
猛暑によって食事量や水分摂取の不十分さが生じれば身体的な機能は低下し、気温の高さは意欲を奪うことにもなり、精神的な機能にも影響します。脱水や熱中症のリスクを下げるために外出を手控えたりエアコンをしっかりと活用すれば、社会的機能に悪影響が生じることにもなるでしょう。 近年、酷暑が頻発するようになったわが国では、こうしたことの対策を中心とした夏季特有のフレイル防止策が必要です。
ネットの反応は?
毎年の猛暑でフレイルのリスクが増えるなんて、特に年配の人には厳しい話だよな。外に出ると暑さで倒れそうだし、家にこもってると体力が落ちてしまう悪循環。でも、若い世代も他人事じゃないって驚いた。確かにエアコン効いた部屋でゴロゴロしてると、筋力も落ちるし、食欲もなくなる。うちのじいちゃんも家にこもりっきりだから、ちょっと心配だな。AI使って電力データからフレイルを検知するってのはすごいけど、結局は自分で意識して運動するしかない。テレビ見ながらでもできる運動とか、日常生活に取り入れて少しずつでも動くようにしないとな。今の若い人もこれからのことを考えて、少しでも体を動かす習慣をつけておくべきだね。
女性は筋量は少ないですが、掃除、洗濯、調理、買物等をしているので、生活動作の中で少しは運動習慣が取れますが、意外と筋量の多いはずの男性の方が、1日中テレビを見て座ったり横になって過ごす為に、運動機能がみるみる低下します。
男性もできるだけ家事を分担して行う事で、屋内での生活動作をフレイル対策にすると良いと思います。
特にもしも家事をしていた女性が、突然入院した等の時に、慌てない為にも家事の分担は必要だと思います。
勿論そこにプラスアルファの暑さ対策をして、散歩や外出を早朝や日暮れに行う事や、テレビ体操等の運動習慣の工夫が必要だと思います。
編集後記
フレイルというワードをはじめて聞きました。たしかにこの猛暑で普段の散歩などの習慣に制限がかかってしまい運動不足なってしまう方が多いそうですよね。
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