セルフレジで客が減る?欧米で進むセルフレジの撤去と顧客流出の懸念

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日本の小売業界において、特に店舗運営におけるデジタル変革(DX)が目立っています。これにはセルフレジや電子棚札など、直接消費者の目に留まる技術が含まれています。2000年代から普及し始めたセルフレジは、新型コロナウイルスの流行を機に更に広く浸透しました。

この記事では、リテールDXを効率化を目指す「オペレーションDX」と、データ利用やOMOを含む「マーケティングDX」に分けて考察します。ここでは、オペレーションDXに焦点を当てて解説します。

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オペレーションDXは必要不可欠。しかし……

日本の小売業界では、2024年の物流問題への対応として、多くの店舗がオペレーションDXを推進しています。しかし、最近注目を集めたのは、イギリスのスーパーマーケットチェーンBoothsが、運営する28店舗中26店舗でセルフレジを廃止し、有人レジを設置したというニュースです。

BoothsのマネージングディレクターはBBCのインタビューで、「長年顧客からセルフレジの遅さや信頼性の問題を指摘されてきた。当社は高品質なサービスと個別対応に誇りを持っている」と述べています。

同様に、北米のディスカウントチェーンストアDollar Generalも2024年3月にセルフレジの縮小を発表し、1万8000店舗中ほとんどの店舗でセルフレジを廃止しました。これにより1万2000店がセルフレジを撤去しています。CEOは「顧客との関係強化と、損失を減らし運営を改善するための措置」とコメントしています。

これらの事例からは、セルフレジが顧客のエンゲージメントや店舗への忠誠心を損なっている可能性が示唆されています。

特に注目すべき実例として、ある小売チェーンが2023年11月から12月にかけてレジの60%をセルフレジに変更した事例があります。この変更後、2024年の1月から6月までの平均売上を有人レジ店舗と比較すると、有人レジ店舗は前年比で売上が増加しているのに対し、セルフレジ化した店舗は減少しており、有人レジ店舗との間に1.1%の売上差がありました。

さらに、セルフレジ化した店舗群では顧客数が2%以上減少し、一部の店舗では前年比で5.3%の売上減少が報告されています。これは、セルフレジが顧客の買い物体験に影響を与えていることを示しています。

セルフレジは買上点数を下げている?

このケースが必ずしもすべての小売店に適用されるわけではありませんが、消費者がセルフレジでの多点数の買い物を避けたがっている可能性が考えられます。

スーパーマーケットは、食品から日用品まで様々な商品を提供し、来店者の日常生活を支えています。店側としては、顧客に多くの商品を購入してほしいと考えていますが、セルフレジとの相性が良くないかもしれません。

また、セルフレジを利用する際に買い物の点数が減少することが常態化すると、コンビニエンスストアなど他の業態への顧客の流出を引き起こすリスクがあります。少ない点数の買い物であれば、わざわざスーパーマーケットに足を運ぶ必要がなくなるためです。

北米で流行したサービスや手法が日本に数年遅れて導入され、廃れるパターンは過去にも見られました。オペレーションDX、特にセルフレジも同様の運命を辿るのでしょうか。

今後は、北米の動向を参考にしつつ、自社の売上や来店数などのデータを注意深く監視し、検証を進める段階になると思います。

うまくいくオペレーションDXとは?

人手不足が問題となっている中で、オペレーションDXの推進は緊急の課題とされています。セルフレジの普及に加え、キャッシュレス決済の導入も重要な選択肢の一つです。

キャッシュレス決済を採用すれば、現金を数える手間やお釣りの準備が不要となり、レジ業務が効率化されます。また、現金盗難のリスクも減少します。

経済産業省の調査委員会によると、2023年のキャッシュレス決済の利用率は39.3%に達しています。スマートフォンを利用したPayPayなどの決済方法が普及しており、多くの小売店が決済機能を持つ独自アプリを開発しています。

しかし、キャッシュレス決済の導入には注意が必要です。導入する決済方法の効果を慎重に検証し、不必要なコストがかからないようにすることが求められます。多くの決済手段に対応しようとすると、ハードウェアのコストやオペレーションの複雑化がコスト増につながることがあります。店舗の立地や客層、利用率、決済手数料を考慮して戦略的に選択し、コスト削減とともに決済手数料の引き下げ交渉も進めることが効果的です。

ユーザーセントリックの「ゆっくりレジ」

オペレーションDXにおいて、キャッシュレス決済とセルフレジの間には顕著な違いが存在します。その違いは「主体が誰か」という点にあります。キャッシュレス決済は消費者側の需要が高まっているため、ユーザー中心のDX(ユーザーセントリック)です。一方で、セルフレジは小売店の課題解決のために導入されているため、店舗中心のDX(リテーラーセントリック)と言えます。

皆さんは「ゆっくりレジ」という概念をご存知でしょうか。これは会計を急がずに行いたい顧客のために設けられたもので、複数の小売店で導入されています。

小売店を利用する客層は多岐にわたります。性別や年齢だけでなく、デジタルスキルや消費習慣も人それぞれです。したがって、顧客を一括りにするのは困難です。

多くの小売店が店舗主導でオペレーションDXを推進する一方で、ゆっくりレジはそれぞれの来店者の状況に応じたユーザー中心の対応を提供します。会計を急がない顧客と、スピーディーに会計を済ませたい顧客のために異なるレジが用意されるため、互いのストレスが減少し、すべての顧客にとってより良い買い物体験が実現できるでしょう。

自社のDXはリテールセントリック? ユーザーセントリック?

リテールセントリックなアプローチで進められたオペレーションDXに対して、北米では反動が見られ、先行する北米や欧州ではセルフレジの撤退を始める小売店も出てきています。この動きが日本でどのように展開するかが注目されています。

重要な点は、ユーザーセントリックな視点を忘れないことです。各顧客には異なる事情やデジタルリテラシーのレベルがあります。効率化やコスト削減を進める一方で、顧客一人ひとりのニーズに合わせた選択肢を提供することが、顧客ロイヤリティを高めるための独自性に繋がるでしょう。

専門家の反応は?

今の一般的なセルフレジは、顧客にバーコードを読ませる作業を負担させているので、それでレジ待ち時間が短縮されないのであれば、顧客にとってのメリットがなく、セルフレジを使いたくない、と思うのが至極当然であろう。こうした新たな仕組みは過渡期の状態であり、本来はなにもしないで店を出ても決済が済んでいる、というレベルまでもっていくのであれば、待ち時間もなくなり、顧客にもメリットが感じられる。しかし、費用対効果で今はそこまで用意出来ないために、顧客の負担感が強くなっている。最終的には顧客が選択する中で、こうした仕組みも改善、淘汰されていくことになるのであり、売上が減少するのと、コスト削減とを比較考量して使っていくことになるだろう。ただ、売上増減への影響がセルフレジだけのせいなのかどうか、といった点については、十分な検証を要するだろう。

店側としても、困っていることがあり、それは顧客がレジを通さず、そのまま商品を持って帰るといった事柄です。スーパーの方曰く「盗難があったとしても、これ程までに人手不足、人件費を考慮すると、多少、問題があっても導入せざるを得ない」と言われています。欧米は人口減と言った問題がないこと、一方、日本のような人口減、人手不足の状況だと、ただ単に欧米のような流れがくるとは、一概に言えないのではないでしょうか。因みにEDLP(Everyday Low Price )のスーパーでは、現金支払いが主流です。理由として、少しでも早くキャッシュにすること、そして手数料がかからないようにするためです。

編集後記

一番の問題点は、UIが悪すぎること

最近のセルフレジ導入の流れは人件費抑制と人材獲得難という店舗側の論理に基づき行われているため、全くユーザーフレンドリーではない

袋がいるかいらないか

ポイントカードはあるか

商品のバーコードはどこにあるのか

野菜やフルーツの場合どうしたらいいのか

支払い方法はどれか を毎回やるのは普通でも結構ストレスになるし、ご高齢の方には無理

読み取りは店員さんで支払いはセルフ、のハイブリッドが現状の技術では最適解だと思う

ユニクロのように買い物かごを置いたら瞬時に会計が出てあとは支払いをするだけであれば手間がかからないのでセルフレジでも問題ないです。

自社内で取り扱う商品のみであるからこそ成り立つと思います。

スーパーのような多種多様な各社の商品をまとめて購入できる仕組みだとセルフレジがこれ以上流行ることは難しいのではないでしょうか。

それこそ国の指導で読み取りタグを業界標準で商品につけるようにするとか、省力化につながるような何かが必要ですね。

スーパー関連の仕事をしていますが、セルフレジで高齢者が沢山いると色々と操作や読み取りで戸惑い、結果的に有人レジの方が速い場合もあります。

DX戦略と言っても店舗の人件費削減しかなく読み取りなしの万引きも増えてきています。 

空いている時間帯だと有人レジの方が断然速いです。

編集後記

おき編集長
おき編集長

スーパーとかだと数十点商品を買ったりするのでセルフレジで対応はちょっと厳しいなぁ。コンビニとか顧客の購入点数が少ない業態にはあっていると思うんですけどね。

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